アーガス

「どうしたんだい? 早くしないと燃料が切れちゃうよ。ヒヒッ」

モニタでは、半分レンズの無くなったメガネをひっかけた、
やせぎすの糞野郎が嫌らしいニヤニヤ笑いを浮かべている。
くそっ、なんであのとき、もう片方もブチ割っておかなかったんだろう。

「ほらほら、早く帰ってきなよ、エースさん。
 愛しのマデリーンも凱旋をお待ちかねだよ」

マデリーン。
マデリーンマデリーンマデリーン!
俺はただ、気味の悪いオタク野郎につきまとわれてるからってんで
一日ばかり恋人の真似事につきあってやっただけだ!
ちくしょう、俺はトップガンだぞ!
寄って来る女なんて掃いて捨てるほどいるんだ!
なんであんなブスなんかのために俺がこんな目に!

「オートランディングシステムはなぜか”故障”しちゃってるみたいだけどさぁ、
 それくらいどうってことないよねえ? 
 なんたって、トップガンなんだからさぁああ!!」

吐き気をもよおす笑い声を最後に画像が歪み、一本の光の線となって、それもやがて消えた。
俺はモニタを拳で叩き割った。
いいだろう、やってやるよ。
俺はエースだ。天才なんだ。
お前みたいな凡才には一生解らないだろうが、訓練なんぞしなくとも
不時着の一つや二つ、ぶっつけ本番でクリアーできるんだよ。

着陸コースをインプットすると、コンピューターが警告音を放った。
 ”戦闘で受けたダメージを考慮したうえで再試行せよ”
俺はそれを無視することにした。
そんな時間はもうなかったし、今は残ったレンズを叩き割ることしか考えたくなかったのだ。

最後の深呼吸。
警告音が鳴り響くなか、俺は操縦桿をゆっくり前に倒した。

――アーガス――


アークティック

問13 脳の細胞の情報伝達の仕組みについて答えよ

シナプス?
アセチルコリン?
グリア細胞?

くそーここまででてきてるのに・・・
わからない・・・思い出せない・・・
もっと勉強しとけばよかった・・・
このままでは落第する・・・
なんとか正解を思い出さなければ・・・
あー、頭が混乱してきた・・・・
もうだめだ・・・

「アークティック」



アーバンチャンピオン

おいおい、アパートの下で喧嘩が始まったみたいだぜ。
まったく、人が野球中継を見ようって時に、なに喧嘩なんかしてんだよ。
俺様が三度のメシより野球中継が好きってこと知ってんのか?

つーか、まじ五月蝿い、ムカツク。
頼むから静かに野球見させてくれよ。

・・・まだやってんのかよ、あいつら。
もういい加減にしてくれ。

あぁ、もう頭にきた!
あいつらの頭に、この植木鉢をくらわせてやる!!
俺様の野球観戦をジャマしたお前らが悪いんだからな!!!


俺は昔ボクサーだった。
だが、つい魔がさして使用してしまった薬物が発覚してしまい俺はボクシング界を永久追放された。
俺はそれまでに十分食っていけるだけの金は稼いでいたので、 裁判などを起こすことなく雀の涙ほどの賠償金を支払って少し早めの隠居生活を送る事にした。
しかし、物足りなかった。何を食っても、どんな女を抱いても俺の心は満たされなかった。
そんなある日、俺の肩にぶつかってきたゴロツキがいた。
身の程知らずにも絡んでくるゴロツキを俺は殴り飛ばした。
多少記憶が途切れる。気付けば、ゴロツキは血まみれになって動かなくなっていた。
俺はあわててその場を逃げ出した。自宅に飛び込んで血まみれの手を洗う。
流水の冷たさが手に伝わるが、体はむしろ高揚感で熱くなっていた。
そうか、これか。
悟った俺は私財を捨てる覚悟で裏世界に宣伝をうった。
「1対1で俺に勝てたものには5000万$を賞金として支払う」

効果は抜群だった。挑戦者は掃いて捨てるほど出てきた。
俺は満足の笑みを浮かべて、最初の挑戦を受ける。
少しは持ってくれよ。俺の拳は血に飢えている。
そう思いながら、俺は挑戦者に言葉をぶつけた。
「一発であのマンホールまで吹っ飛ばしてやるぜ」

─アーバンチャンピオン─


RPGツクール

あれからどれほどの時が流れたのだろう。

かつて私は神だった。この世界の全てを司る者だった。
しかし私は退屈していた。自らが造った平和な世界に。

だから私は一人の魔物を作り出した。
彼は世界を乱し、私の世界に新鮮な刺激を与えてくれた。

だが私はやがて彼にも飽き始めた。だから今度は彼を倒す英雄たちを作りだした。
英雄たちは、私に感動すら与えてくれた。ちっぽけな存在が作り出す壮大なストーリー。
そう、これこそ私が求めていたものだ。

しかしここで誤算が起こった。英雄たちは私にすらその刃を向けたのだ。
だが私はそれが誤算だと気づかなかった。神に勝てるものか。そう思っていた。
だが英雄たちは恐ろしい武器を持っていたのだ。

”チェーンソー”その恐るべき力の前に、私は成す術も無く敗れ去った。
私の再生能力をもってしても、コマギレにされた肉体を復元するのに数百年はかかった。
そして今、ようやく私は蘇ることができた。

これから何をしようか。そうだ。あのゲームのやり直しをしよう。
もう一度、この世界で壮大なストーリーを作りあげるのだ・・・・


時は遙か未来…
人類たちは高度な文明を手にし、豊かな生活を送っていた。
だが、最悪の出来事が起こってしまった。 …そう、戦争だ。
各国が敵対する総力戦が始まったのだ。

とある国の研究所の一室で、有力な科学者たちが十数人集められた。
「諸君、ここに集まってもらったのは他でもない。この装置を完成させるためだ」
世界最高峰の科学者がそう言って指さした先には、コンピュータらしきものが何台かある。
「あれは何です?有力な新兵器ですか?」
科学者の一人が問う。
「人類は大きな過ちを犯してしまった。だが、今の戦争はもはや止められないだろう。
 そこで、私はコンピュータの中に"仮想空間"を作り出したのだ」
「まさか…そこに人類を作ろうと?」
部屋中にざわめきが起きた。
「その通りだ。既にこの宇宙の法則はプログラムしてある。
 君たちは、ここに新たな世界を作りだしてほしい」
当然、ばかばかしいと言う者もいた。だが、他にできることは無かった。
そして、計画が始まった…


「どういうことだ?」

俺はテストプレイ中の自作RPGをプレイして、困惑していた。キャラが思うように動いていない。
とはいえ、誤解しないで欲しい。
イベントの条件付けに失敗しているなどのミスではないのだ。
暗く点滅する画面では、俺の知らないイベントが進行していた。



俺が作成していたのは趣味でしかない、懐古主義と蔑まされそうな王道そのもののRPG。
剣と魔法で支えられた胡散臭い世界観。
軍隊はあるが警備員や衛士以上の活動はしない。
世界は魔物の出現で一見荒れているようで、でも不思議と人々はそこそこの生活を送っている。
何より――勇者と魔王がいる。

そんな出来レースで真剣に世界を救う大馬鹿者、勇者。
くだらねーなんて笑いながらも実は結構真面目に作ったそれは、結局どこまでもハッピーエンドで終わるはずだった。
それが、今は――

「おいおい、ここでこいつが死ぬなんて設定してねえぞ!?」

粗いドットのキャラがガクリとうな垂れる。
画面の向こうでは、仲間が勇者を庇い、命を散らしていた。
書いた覚えのないテキストで、パーティー全員が嘆く。
背筋が震えた。
俺は、自分の掌から抜け出した、一つの世界の産声を恐れたのだ。

テストプレイを中止する。
テキスト閲覧、ダメだ弄れない。
勇者のステータスなど……やっぱり弄れない。
どこもかしこも弄れなかった。
それどころかテキストは刻一刻と文字を変える。
これは……彼らの可能性なのだろうか。
この機械の中に一つの世界が産まれて、俺の手を離れた?
それを神の視点で眺められるってことか?
バカバカしい。
例え推論が当たってたとしても、これは創るのを楽しむゲームだ。
眺めているだけではクソつまらない。

俺はこの怪奇現象にうんざりとして、呆と画面を眺めていると、ふとモンスターデータの中にある魔王の項に目が行った。
ウィンドウの下の方に、小さなボタンが追加されていた。


『Log in』


簡潔な一言。
それを理解した瞬間――俺は嗤った。

どんな形であれ、参加できないゲームはつまらない。
神=ゲームマスターは創造することで参加する。
プレイヤーは勇者や主人公で。もしくはその仲間かもしれない。
そう、魔王で参加する形だってある。
眺めてるだけではつまらない。つまらないから――

「ふん、やってやるよ。魔王って奴を。
でもな、俺は王道だからこそ残虐で、死にたくないからできる手全部打たせてもらうぜ。
3次元代表としては2次元世界で負けるわけにゃいかねーんだよ。
なあ。勇者サマ。」

言い捨てボタンを押すと、男を嗜虐心と高揚感が心地よく身体を包んだ。
その高ぶりは、自分の手で創ったモノを壊す背徳感そのものだった。


ぼうけんはおわらない。


アイスクライマー

極寒の雪山において、「野菜」という物は収穫数が少なく、大変珍重された。
山村の住人達は、野菜が腐らぬように、幾つかの雪山に穴を開け、天然の冷蔵庫(通称:マウンテン)を作った。
しかしマウンテンは作られて野菜が保管されてからは二人の人間しか訪ねる者がいない。
その二人、ポポとナナは人呼んで「アイスクライマー(冷蔵庫を登る者)」
積雪の多い極寒の山、夏場はまだしも、冬になると通常の人間では確実に命を落とす死の山と化す。
さらにマウンテンは長らく人の手が加わってないため、多くの危険な生物が住み着いてしまっている。
生物達に野菜が盗られないように、マウンテンはそれらがたどり着けない複雑な構造になっているが、
その事が雪山の中にマウンテンがある事に加え、野菜の取得をより困難にしている。
そんな厳しい天然の冷蔵庫の中に、野菜がある。
山村の住人達が、野菜を求める時、その時こそアイスクライマー達の出番である。
アイスクライマーは厚い防寒着とハンマーを身に着けて、相棒のコンドルの足に掴まり冷蔵庫を目指す。
コンドルはアイスクライマーを冷蔵庫の前に降ろし、彼らと冷蔵庫の頂上で落ち合う為、上空で待機。
アイスクライマーは、冷蔵庫の入り口をハンマーで破壊し進入。
ハンマーを器用に使い、マウンテンに巣食う生物達を打ちのめしながら、依頼品の野菜を得る。
上空で待機しているコンドルに掴まり、再び山村に戻り、野菜を山村の住人に渡す。
このように、命がけの見返りとして、山村の住人から高額な報酬を得て暮らしているが、
アイスクライマーは、いつ命を落としてもおかしくない生業なのだ。
そして今日もまた。
野菜を求める人々の為、彼らはマウンテンへと向かう。



寒い・・・

彼らは辛うじて繋ぎとめている意識の中で
ただひたすらマロースの中を生き抜いていくだけだった。
顔面の皮膚や指先は既に壊死を起こしている。
近くで獣の徘徊する気配がした・・・
恐らくもう、生きて下山することは出来ないだろう。
故郷に居る家族の顔がふと浮かんだ・・・

寒い・・・

やがて彼らの思考は、同じ事を繰り返すようになり
精神も疲労しつつある中で、ひとつ心の奥底で湧き上がるものがあった。

パートナーへの憎しみ

それは死の恐怖から回避するための一つの心理的な防衛であったのかもしれない。
責任を転嫁させ自らを弁護し、今ある絶望的な状況への逃避として
彼らは互いのパートナーを憎んでいた

見捨てよう・・・

お互いコミュニケーションもとらず、それぞれ思い思いの行動をするようになった。
かつてライフラインを分かち合ったバディとしての意識は既に失われている
手にペグハンマーを、落とさないようにガムテープで縛り付け、
行く手を阻む氷の壁を打ち壊しながら、突き進んだ。相手の危険性も顧みずに・・・

彼らはもう人としての心を失っていた・・・
『アイスクライマー』



「お母さん、死んじゃやだ!」
幼い少女はぎゅっと母の手を握った。

原因不明の病。
母の命は燃え尽きようとしている。
疲れ果て暖炉の前で眠る妹の姿を見て少年は決意した。
旅立ちの準備を済ませ、そっと扉を開く。
「お兄ちゃん・・・・・・何処に行くの?」
気配に目が覚めたのか、毛布に包まったままの少女が身体を起こしてこちらを見ている。
「・・・・・・お母さんを頼む。僕は氷の山に行く!」
語り部のおばあさんから聞いた、万病に効くという虹色の花の伝説。
この辺りの人間なら誰でも知っているおとぎ話だ。
それでも。
少年は雪原の向こうに聳え立つ、氷山に目をやる。
「・・・・・・アタシも一緒に行く!」

「この山にも無かったね」
「次の山にはきっとあるよ!」

兄妹の探索は今も続いている。かもしれない。



"煉獄
煉獄というものは西欧の死後世界観の特徴である。
地獄に落ちた死者は、生前の罪の重さゆえに厳しい責苦を受けるが、
それを経ることにより罪は浄化され、天国へおもむくことができる。
その過程において存在するのが煉獄である。
様々な試練、困難を打破しながら、煉獄山を上りつめると頂上にコンドルがおり、そこから天国が始まるのだ。
しかし、このコンドルに天国へと導かれる罪人は極僅かである。
死者は煉獄山に住む邪魔者から逃れ、他の死者を蹴落としながら、我先にとコンドルを目指す。
それにともなう多くの戦いは、多くの人間、多くの思いを踏みにじる。まさに地獄である。


僕はこの町である女の子と仲良くなった。
その娘となら世界の果てにでも行けそうな気がした。

暖かそうな防寒具を着て。
山に登る。
絶望から這い上がるために。

「17になった美しい娘はこの国の独裁者の下に送られそこで性奴隷として一生を終える」
それがこの国の掟だった。
選ばれたのは幼馴染のかわいい娘。
そして、それを影ながら僕は見ていた。
ある晩、彼女は言った。
「一緒に逃げましょう、好きな人と別れたくないの」、そう言ってくれた。
だから僕達は逃げることにした。
しっかりとお互いを支えあうように縄をお互いに結んで支えあう。
もし、何が起こってもこの縄が切れない限り別れる事は無い…。
2人で誓い合った。

追っ手が来る。
急いで山を登る。
吹雪でお互いの姿が見えない。

だが、僕達は運良く山を登ることが出来た。
空にはコンドルが舞っている。
これにつかまり町を逃げ出すのだ。

全てがうまくいった。

もし、上から縄を引っ張られるような事があれば自分から縄を切るつもりだった。
この覚悟があったからうまくいったのかもしれない…。

                              -アイスクライマー 愛すべき人と-



それ、コンドルにつかまれるの一人だけじゃ・・・


これを登っていけばいつか楽園にたどり着ける、
そう信じて必死に登ってきた。
だがもう限界だ、体中が寒さと空腹で感覚が無い。
だが諦めるわけにはいかない。
そう思った時にいきなり世界は変わった。

・・・浮かんでいるのは雲と・・・野菜??

やれやれ幻覚か?いや違う?ここは?楽園?
一気に体中に熱気が蘇る。
あと少し、あと少しで辿り着ける。
もう迷いは無かった。

そして彼は楽園へと辿り着いた、空には一羽の鳥が悠々と舞っていた。

                          アイスクライマー



I.Q - Intelligent Qube

どれだけの間、気を失っていたのかは分からない。
ただ、気が付いた時には辺りは闇と静寂が支配していた。

自分の姿すらも見えないほどの闇。
出口を探そうにも何も見えないのでは、どうしようもない。
俺はしばらくの間、呆然とそこに立ち尽くしていた。

すると突然、目の前に石でできた床と一枚のメモが“出現”した。

(何なんだ、いきなり……)

俺はメモに近づき、手にとった。

――生き残りたければ捕獲せよ――

それを読み終わった瞬間、大量の情報が頭の中を駆け巡った。
目眩がする、吐きそうだ……

(今のは何だ。それに、キューブ?)

突如、床が揺れ出し、奥の方の床が迫り上がってきた。
どうやら床は、一辺5、6メートル四方の立方体でできていたらしい。
それは転がりながら、こっちに近づいて来る。

俺は全てを理解した。
(いいだろう、やってやるさ。)

そして、俺は“捕獲”を開始した。

I.Q - Intelligent Qube "Case of Eliot"


蒼き狼と白き牝鹿ジンギスカン

A「もし、俺が女だったらおまえらにヤラせてやるって!」
B「マジで!?ヤリてー!!(゚∀゚)」
C「ハァ・・・(´д`)どっかにヤラせてくれる女いないかなー。羊はもううんざりだ」
A,B,C「ヤリてー!!!!!('A`)」

青き狼たちの悶々した熱気が高原に立ち上るモンゴル。
ユーラシアを統べ、世界の美姫を手に入れるために童貞たちは立ち上がった!!



A「隣のクラスにラッチっているじゃん?あいつ超ヤリマンらしいぜ」
B「ハァ?マジで?でもあいつ超ブサイクじゃん」
C「ジャムカがラッチに筆おろししてもらったって奴から聞いたよ」
B「マジで!?あんな化け物でよく起ったな!俺絶対無理だわ」
A「いくらヤリたいからってラッチとだけはやっちゃマズイよな」
B「ああ、踏み越えちゃいけない一線ってやつだよな」
C「・・・・・・・」
A「ん?どうした?」
B「お、おまえまさかラッチと・・・・・」
A「違うよな!おいっ違うって言えよ!あんな化け物に童貞捧げるほど堕ちちゃいないよな?」
C「違くねえよっ!!ああ、ヤッタさ!!俺はあの化け物とあqすぇdrftgyふじこlp」
A,B「((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」


悪魔城ドラキュラ

彼は今、この国、ワラキアを巣食う悪の権化"ドラキュラ¥驍フ門前に居た。
童話の物語として語り継がれていたドラキュラ。
それが今、平和だった彼の住む国を深淵の闇へと突き落としている。
彼はこれまでの道筋、命を幾度となく救ってくれた、先祖伝来の鞭を、ギュッっと握り締める。
命の保障はどこにも無い、彼の内からは湧き上るように”恐怖≠ェ迫ってくる。
…彼は、今は亡き母が"丘≠ナ語ってくれた言葉だけを、それだけを頼りに、恐怖と立ち向かっていた。

「シモン…この美しいワラキアは、かつて闇に支配されていました。
それを貴方のご先祖"ラルフ=ベルモンド≠ェ、闇からこの国を救ってくれたのです。
…ですが、その何年か後、闇は再びワラキアを攻めてきました。
貴方のおじいちゃんやお父さんも、彼らと戦い…そして今の、この美しいワラキアがあるんです。
……私は、戦いの宿命を背負ったこの家に、貴方を生んでしまいました。
ごめんなさい。貴方のこれからの事を想うと……。
でも…このワラキアの広大な自然、緑…木々や…小鳥達を見て…シモン。
お父さんや、おじいちゃん。みんなの勇気があったから、今この自然があるんです。
いつか…貴方が闘わなければならない日が来た時…"勇気≠持って…シモン。」

"勇気
聞いた当時全く解らなかったその話の意味を、今のシモンなら理解できる。
幼い頃に悪魔との戦いで亡くなった父、そして病で亡くなった母。
二人の肉体はこの世には存在しない。
が、シモンの中には確かに存在していた。肉体とは違う。二人の想いが。
握り締めた鞭から、その想いが"勇気≠ニなって溢れ、恐怖の念は消え去っていった。
もう、迷いは無い。シモンは門に手をかけた。

そして、悪魔の住む城の重い門が解き放たれた。



あるところに一人の女性と彼女を崇拝する集団がいました。
女性「普通のプレーは飽きたし新しいことをやってみない?」
集団「おお、おおおおお、おおおっ」
女性「怪物のコスプレをした貴方達と私の戦いっていう設定でどうかしら」
集団「おっお、おおおお、おおおおおおおおおおおおお」

今宵は満月、更なる刺激を求め男の装いに身を包みムチを持つ女性シモン・ベルモンドと
彼女を崇拝するマゾ集団の激しいプレーが始まろうとしていました。



そいつは邪悪の化身 名はドラキュラ!!そいつは百年のねむりから目覚めた男
私はその男と闘わねばならない宿命にあるッ!

正確に言おう!ベルモンドに恐怖しているのではない!
ベルモンドの血統はあなどれんということだ!

おれが時を止めた……やれやれだぜ…

拳で死神がはったおせるかッ!剣で死神が切れるかッ!銃で死神を破壊できるかッ!

てめーは、このシモン・ベルモンドがじきじきにブチのめす

マヌケが……知るがいい……この「ヴラド」の真の能力は…まさに!  「世界を支配する」能力だということを!

高校・大学と成績は一番で卒業した。大学ではレスリング部のキャプテンをつとめ…
社会に出てからも みんなから慕われ尊敬されたからこそ政治家になれた…
ハワイに1000坪の別荘も持っている…25歳年下の美人モデルを妻にした…
税金だって、他人の50倍は払っている!どんな敵だろうとわしはぶちのめしてきた…
いずれ大統領にもなれる!
わしは…ヴラド・ツェペシェ伯爵だぞーーーーーーーッ

頭痛がする は…吐き気もだ…くっ…ぐう
な…なんてことだ…このヴラドが……気分が悪いだと?
このヴラドがあのベルモンドに頭を破壊されて…立つことが…立つことができないだと!?

馬鹿な!このヴラドがこのヴラドがああああ

てめーの敗因は…たったひとつだぜ…ドラキュラ…
たったひとつの単純な答えだ…
『てめーは おれを怒らせた』


〜「惑いの罠・自由の罪 第2楽章」より〜

現揺るがす闇夜に 十字を裂いて飛び込むキャスリング
「ホント」も「ウソ」も砕いて渦巻く悪意・混沌
狂った風が描くはアネモネの血文字・・・・

変幻自在魑魅魍魎
阿修羅の如き仮面はモノプローム
妖しく 残酷な 美しき悲鳴をかき鳴らす銀髪の貴公子

遺恨の華に埋もれた聖女の涙、振る舞い、慈悲が破戒の悪魔へ導いて
流れる血より素早く振るう鞭が彼の首を落とすその刹那に惹かれる

「そんなお伽話、本当にあっても不思議じゃないだろ?なにしろキミはこれから真実を知っていくのだから」


あさめしまえにゃんこ

家に帰ったとき、家が無ければあなたはどう思うだろうか。
戦い…。
夢…。絶望…。
そして、愛。

戦争と言うものはいかに自分の「ナワバリ」を増やすための道具でしかない。
しかし、その中にもかすかなドラマが生まれ、
死と生の境目を往来する。

そう、それが例外なく生き物であり、命なのである。
そしてここにもその欠片を見ることが出来るだろう。

ああ、そうだとも。これは「ナワバリ争い」だ。
友の、恋人の、子供たちの幸せの為に…
この幸せが一秒でも続くことを願って…。
彼らは踊り続けるんだニャー。


アスピック

私は深く傷ついていた。
私は殺されようとしていた。
私は呪いが発動するのを感じ取った。
私は意識が闇に閉ざされるのを知った。

かつて私を殺した剣士が、闇の向こうで戦っていた。
かつてはその剣で切り倒した魔物を引き連れ、
かつて私から取り戻した姫がいる国の、
かつて姫の奪回を頼んだ王を敵として。

剣士は並み居る兵士どもを薙ぎ倒した。
剣士は王さえも打ち倒した。
剣士は姫を奪い去った。
剣士は戻ってきた、私の塔に。

そして、私の意識は光に包まれた。
そして、剣士の肉体は緩やかに変化した。
そして、剣士の精神は無に還った。
そして、私は再び蘇った。


私はアスピック。永遠の命を持つ呪われたヘビ。殺されても殺されても、
殺した人間に乗り移り、身も心も奪い取ってしまう悪魔の化身。
永遠の命を持つが故、永遠に戦い続けなければならない悲しみを…

アスピック「永遠」


アストロロボ・ササ

もうちょっとだよ。
もうすこしだけ、がまんしてね、ナナ。

ながいあいだ、またせてごめんね。
あとちょっと、あとちょっとで、きみにあたらしい命をあげられるから。

ごめんねナナ。
きみのだいすきだった、あまいママレードも
パリパリのベーコンエッグも、もうたべられない。
おかあさんのすきだった、フリージアのにおいも、もうわからない。
きっときみは、かなしくて泣くとおもう。泣き虫だもんね。
けど、あたらしい眼は涙をながせないんだ。

だけど、このカラダなら、二度と病気になんてなったりしないから。
これでもう、二度とはなればなれになんてなったりしないから。

それに、もっとすてきなことだってあるんだ。
きみはいつもいってたよね。
あおい空を自由に、宇宙までだってとんでいってみたいって。
ちょっとコツがいるけど、きっと喜んでくれるとおもう。

きみがうまれかわったら、ぼくもこのくだらないカラダをすてるよ。
ほんのすこし遺伝子が似すぎているってだけで、
きみを愛することを許さなかった、このいまいましい人間のカラダを。
ぼくもきみといっしょに、手をつないで空をとぶんだ。

さあ、目をあけておくれ…… ナナ。


 「おはよう、ササにいさん。
  またおそくまで勉強してたのね、おめめがウサギみたいよ」


       『アストロロボ・ササ』



枯渇の危機に瀕した地球のエネルギーを人間同士が奪い合う。
しかし、手にした微々たるエネルギーは平穏への架け橋とはならず、
さらなるエネルギーを得るための武器へと姿を変えていく。
多くの血が流れ、多くの有望な命が空に消えていった。
これは、22世紀、俗に言う多国間エネルギー戦争での一幕である。

明日樹博士は紗々の肩を抱き、その残された温もりを噛みしめていた。
「すまん……」
もうすぐ訪れる愛するものの死、それを受け容れるための精一杯の言葉だった。
「……あなたは間違ってない、そうでしょ? だって……あなたの子供達は
みんなを守ってくれたのだから」
敵兵器を前に、鈍色の“子供達”が閃光を残して消えていく。
か細い声で紗々は続ける。
「……戦争なんて、無くなればいいのに……」
誰もが願った当たり前の結論と、頬を伝う涙と、四散する最後の子供。
「……そうすれば、あなたとこの子と、幸せだったのに」
と、お腹に手を当てる紗々。驚く明日樹。
「そうだ……戦争を嫌がる子供、作ってよ……ぜったいたたかいを
もとめたりしない……そんなこどもたちを……あはははは」
虚ろな笑い声と共に、紗々の眼から光が消えた。
明日樹は静かに、しかし強く紗々を包む。
いくつもの火柱を伴い、雄牛型独立機動兵器が迫る。
明日樹は紗々を抱き上げると狂ったように駆けだした。
「わかった、わかったよ……決して戦いを求めない、子供だ!自ら
戦場を退く、最も優しいコドモダァ!」
そう、彼女の想いを遂げるために、彼は叫んだ。

超反動砲を携えた“子供”が誕生するのは間もなくのことである。
                     −アストロロボ・ササ side/A−

明日樹奈名は手を合わせて祈った。
紗々が亡くなってから15年が過ぎていた。
奈名の祈りとは別に、そこには彼女を見守る視線が。
「ふむ、適合率100か」
「当然です、あれは彼女のために作られたものなのですから。
……そろそろ、使い時でしょう」

明日樹博士が開発したアストロロボ・ササは最も優しい兵器だった。
だが、退くために搭載したはずの超反動砲が、ササを超高機動兵器に変えた。
博士はその運命の皮肉に狂い、自らササと共にブラックホールへと消えたのだ。
終わらない戦いの希望を、奈名とナナに託して。

空に光が走り、いくつもの閃光が迸る。
無数の叫びが天に昇り、溶けていく。
ただ、アストロロボ・ナナはそこにはいない、遥か遠くに、退いている。

総司令はその戦果に驚喜し、また戦いた。
「これほどとは……」
「当然です、超反動砲は強化済みですよ。しかし司令、何故あの兵器を選んだのですか。
あまり効率が良いとは思えないのですが」
「兵器ではない、“子供”だ。……君は戦いの中で一番恐ろしいものはなんだと思う?」
「……圧倒的な兵器、ですか?」
「違うな、それは自分の心だ。我々は腐っても人間、誰かを殺めることを肯定などできん。
とはいえ、薬物投与や精神強化では、任務の遂行に支障が出る」
「確かに彼女には何も施してませんが……ためらいもなく敵を撃っている、……!」
「気付いたかね、彼女は、知らないのだ。ナナの威力が敵陣を破る頃には彼女は
そこにはいない。明日樹奈名には人を撃っている実感がないのだよ!」

ナナが反転し、エネルギー倉庫を狙う。次に撃つ方向は、奈名には分かっている。
奈名はナナとの一体感の中で、おぼろげな父と母の姿を見ていた。

                                −アストロロボ・ササ side/B−



アップルタウン物語

「わぁ、すてきなお家。」
「今日はここでプロモーションビデオの撮影をするよ。
キミはこのセットの中で好きなように過ごしていいんだよ。
この家の中にある物はどれでも自由に使っていいからね。」
「本当?わぁ、ピアノもあるのね。…ねぇ、テレビはあるけど
ゲームはないの?あと、お腹空いちゃった。」
「ははは、それじゃあ今すぐ用意するよ。それまでこの猫と一緒に
待っててくれないかな。」
「わぁ、かわいい〜。よろしく猫ちゃん。」

--

スタッフA「嬢ちゃん本当に楽しそうだな。ああ、なんか俺、罪悪感が…。」
スタッフB「プロモの撮影と見せかけて実はドキーリマル秘カメラだもんな〜。」
スタッフC「このあと、家中がポルターガイスト現象に包まれる仕組みに…きひひ。」
スタッフB「おっ、嬢ちゃんが階段を降りるぞ、そこのスイッチをONにしろ。」
スタッフA「え?あ、はい。」カチッ

ズザザザーーーー

スタッフA「うわっ、階段が変形したっ!嬢ちゃん階段落ち!」
スタッフC「ふふふ、お楽しみはまだまだこれからよ。」


アトランチスの謎

師匠は助けた。

宝も集めた。

全てを制覇した。

何もすることが無いまま、時は過ぎる。

最初から、帰る気なんてなかったから。

これでいい。

行こう。

42面へ。

時空の果てにある、現実へ戻ると信じて。

                                 「アトランチスの謎」


アメリカ大統領選挙

天才プログラマーと呼ばれている私は現在、とあるソフトの開発を任されていた。
大統領選挙のシミュレーションソフトだ。
アメリカではもうすぐ大統領選挙がはじまる。
有力候補の一人が、当選をより確実にするために頼んできたのだ。
私は悩んだ。そんなソフトは今まで作ったことがなかったからだ。
膨大な過去のデータを入力し、試行錯誤を繰り返した。
悩み、悩み、ひたすらに悩んだ。
数え切れないほどのプロトタイプを作り、そして消去した。
莫大な時間を費やした。眠れぬ夜が続いた。開発は不可能なのか、そう思った日もあった。

だが、私は諦めなかった。大統領候補は私を信頼し、私の能力を買ってくれたのだ。
期待を裏切るわけにはいかない。
私はこれまでの人生で身につけた技術と知識のをすべてつぎ込み、
誇張ではなく、本当に指先に血が滲むまでキーボードを叩き続けた。
そしてある日、ついに……。

「完成した!」
私は連日の徹夜で疲れていることも忘れ、ソフトを片手に車を飛ばして有力候補のもとへと急いだ。
「やった、やったぞ!」
彼の部屋のドアを開け、大声で叫ぶ。
「頼まれていたソフトが完成しました!大統領選挙のシミュレーションソフトです!!」
大統領候補の一人である彼は、何故かそれを聞いて苦虫を噛み潰したような顔をした。
何故だ?その態度を不思議に思った私に向かって、彼はこう言った。

「私はもう落選した」

『―アメリカ大統領選挙―』



アルカノイド

天才博士として名高い一人の男が居た。
彼は、"魂≠ニ呼ばれる人の肉体に宿り、生命を保ち、心の働きを司るものの"具現化≠目指しており、
"魂捕捉機"魂分裂機"魂捕獲機"魂保管機≠ネど珍妙な発明ばかりしていた。
彼は世間一般人に、"変わり者"気の触れた方≠ニ罵られていたが、
長い探求と試行錯誤の末、ついに、魂の具現化をする為の"実験装置≠開発する。
「私自らが作った物だ、まず私が被験者となろう。」
こう言って博士は、助手に実験装置の起動を任せた。
……実験は成功。博士は肉体から解放され、小く球状の魂だけの存在となった。
半信半疑だった助手は、魂だけで自らの存在をアピールする博士を見て驚愕した。
魂だけになった博士の指示で、助手実験装置を操作し、博士の魂を肉体に戻す。
…実験装置は完璧だった。
「ふぅ、成功…だな。今度はもっと長距離まで行って見る。」
こう言って、博士は再び助手に実験装置の起動を促す。
博士の魂が肉体から解放する為の操作を行いながら、助手は思った。
この実験装置の功績を独り占めにしたい…と。
実験装置が起動、再び博士の魂は肉体から離れようとしていた。
助手は近くに置いてあった箱状の"魂保管機≠手に取り、博士の魂をその中に入れ、蓋をした。
何が起こったのかわからない博士。保管機の中で暴れ回る。
「ははは、博士。魂保管機は順調のようですね。
…どうせ変人の博士だ。居なくなったってだれも気には止めないでしょう。
俺がこの研究を引き継いで差し上げますよ。」
助手が自分を"魂保管機≠フ中に入れた事を知った博士は、
魂に万が一の事が起こった時の為に、保管機の設置しておいた脱出装置を起動する事にした。
脱出装置は、壁の片側に"物質風化装置≠起動させ、もう一方の壁を瞬時に分解、老朽化させ、脱出口を作ると言う物だ。
博士は、自らの魂を、特殊な棒で跳ね返し、壁を破壊しなければ、脱出する事ができない。

その、特殊な棒を操作するのが"貴方≠ナす。
さて、貴方は博士を救うことができるのでしょうか。


イース

とある兄弟の可哀想な会話。

弟「これ2ってなってるけど1ってどんな話?」
兄「主人公が占い師に騙されて本6冊集める話」
弟「なんで騙したん?」
兄「ラスボスとグルやってん」
  
弟「レアって誰?」
兄「占い師の知り合い」
弟「そいつもグル?」
兄「うん」

弟「このフィーナって女神やろ?」
兄「そう」
弟「もう一人って誰なん?」
兄「知らん。そのうち出てくるんちゃう?」
弟「オープニングで出てきた女の子かなぁ」
兄「そんな感じやなぁ」

巨大な誤解を元に構築された俺イース1
兄貴が何を思って俺にそんな話吹き込んだのか定かではない・・・


囲碁・九路盤対局

私がそこに落ち付く事を決めたのは、歴史の風格を感じさせる石造りの街並みと、
街を包む静寂が気に入ったからだ。

最初は、意外と転居の多い街だな、としか思わなかった。

だが、何かがおかしい。
すぐに重苦しい違和感が私を襲い始める。

街の外へ転居したとされる、住民のその後を誰も語らないのは何故か。
時折夜半に漂う、喜悦をすら感じさせる恐ろしい悲鳴。消える住民。
市場で隠微に交わされる会話。
人が消えるにつれ静かな歓喜が街を覆うのを肌で知り、
何時の日にか秘めやかな饗宴は沈黙の熱狂の内に幕を閉じる。
街の人々が私に感じさせる、そこはかとなき疎外感。
モノトーンに彩られた古風な街並みの中で、私は熱に浮かされたような眩暈を覚える。
そして幾月かの後に人知れず住民が消え始め、また祝祭が静かに幕を明けた事を知る。

この街での最初の友人となった"彼女"は、枕元でそっと呟いた。

   "囚われる前に、ここを離れなさい"

しかしその時は、私にも訪れる。
それは、広がる雨雲の下、真っ直ぐに伸びる市場を眺めていたとき。
この街は、美しい碁盤目状に区画されている。
急に強くなった雨脚が、私の頬を叩く。
"星"と呼ばれる町外れの一画。
"天元"と呼ばれる中央の広場。
そして私は、全てを把握した事を知る。

ふとこちらを見つめる視線を感じ、顔を向ける。
遠くの人ごみの中に切り取られた端正な横顔は、やはり"彼女"。
果物とパンの詰まった紙袋を胸に抱き、ひどく哀しそうな目で私を見ていた。
声を掛ける間もなく、その姿は雑踏と驟雨の中に掻き消える。

これから自分の身に起こる事は、もう判っていた。
何故なら、私はもう"囚われて"しまったのだ。

だから、隣家の石扉に描かれた白い印を見たときも、驚きは無かった。
そして自宅の扉が黒く塗りつぶされたのを見て、己がこの街に受け入れられたことを知る。
狂った歓びに満ちた日々が過ぎる。
"彼女"を見かけなくなったのは、いつの日からだろう。
私が消されるのは、いつの日だろう。

                                         ---【囲碁・九路盤対局】


いただきストリート 私のお店によってって

「貴方が7人目の滞納者なのね」
セーラー服を着た少女はさらりと言った。年齢はそれこそ高校生くらいだろうか。
顔はかわいい方だ。だが、その少女の周りにはいかつい体格をした男たちが数人。
逃げられない・・・・私は逃げられないのだ。

「パチンコのやりすぎで破産したんですってね・・・うふふ、私たち業界人にとっては最高の鴨だわ!」
そう・・・・私は、やってしまったのだ。 パチンコで負けては投資、負けては投資を繰り返している
うちに日常生活さえも危うくなっていた。慌ててしまった私は、闇金の元へ電話をかけてしまったのだ!
その後はもう、雪だるま方式で借金は800万円まで膨れ上がった。
そして今、薄暗い照明の下で椅子に座らされている自分の姿に悔しがるのであった。

「もう、どうしようもないでしょ?このままじゃ人生真っ暗でしょ。どうする?自殺でもする?」
相変わらず、セーラー服の少女はさらりと冷たい言葉を発している。
「・・・・助けてください!助けて・・・・くださいっ!!」
無駄だとは思うが、精一杯の命乞いをしている馬鹿な私がいた。
すると、少女の顔は微笑みに変わった。そんな、まさか。何故?
戸惑う私を差し置いて少女はすぐにこう言い放った。

「ねぇ、借金をチャラにできるゲームに参加してみない?」
私はさらに戸惑ってしまった。しかし、少女は続ける。
「あのね、貴方以外の6人の滞納者はすでに参加決定済みなの。みんな欲張りよね。
 まぁ、その中で優勝した人しかチャラにしてあげないんだけどね!」
私は「そ、それは・・・・どんなゲームなの、ですか?」と慌てて聞いた。
恐る恐る少女の言葉に耳を傾ける私。
「そうね、ゲームといってもリアルなものよ。単純に言えば”地上げ”をして欲しいのよ。
 まずは、小手調べに私たちグループが狙っている島国を企業ごと乗っ取って、
 観光都市にしたりするのよ。そしたら世界一の大企業に近づくってわけ」
言っていることが大きすぎて、ますます戸惑ってしまう・・・
「でもね、現地住民もそんなにバカじゃないみたいだし、
 向こうの国でもちゃんと警察があるみたいだし。
 けど”地上げ”するとなると汚い手を使うしかないでしょ?
 そう、そこで貴方たち7人の落ちこぼれを利用するわけよ!
 その7人の中で私たちのグループに最大の利益を出させた人の優勝よ」

どうやら、話の筋がなんとか読めて来た私。
つまりは、私を含め7人の借金滞納者を利用して世界各地の観光名所やらを
闇金企業の傘下にしてしまおうという”ゲーム=現実”である。
「もし・・・・その・・・・優勝できなかった場合・・・・・・どうなるのですか・・・・?」
少女は微笑みのままこう話した。

「そんなの分かり切ってるじゃない。汚いことをしちゃった償いとして
 お巡りさんに捕まるのよ。もちろん罪は全部自分持ちでね。懲役80年くらいかなぁ?
 まぁ、犯罪者&大借金という状況になってしまったら人生ほとんど終わりだけどね〜、うふふ」
貴様のセーラー服には、一体何が宿っているのだ・・・。
「あ、ついでだけど私も参加するから。私ってほら、このグループの社長
 だもんゲームの行方を見届けたいの。もちろん貴方たちの監視役としてね。
 でも安心して、貴方たちの買った土地は横取りしないから。でも、
 私が優勝しちゃったらみんな負けだから気をつけてね♪
 あ、そうそう結局は貴方も参加するのよね?どうなのよ!」
私は蚊の鳴くような声で「はい・・・・」としか言えなかった。この女が、社長だったとは。
「よし、決まりね♪じゃ早速ゲーム開始〜!」
遂に、始まってしまった。7人の借金滞納者+闇金社長による世界各地を
地上げするという恐怖のゲームが今、始まってしまった・・・・。

                      -いただきストリート 私のお店によってって-


いっき

天保8年(1837年)、連年の凶作と商人・酒造人による買い占めによって米価は大幅に高騰した。さらに役人と富商の癒着が大きな問題となる。

そして各地では貧困と飢えにあえぐ農民達が各地で打ち壊しが大々的に行われるが、幕府はいっき対策に
戦国時代に主に間者として暗躍した忍者を密かに雇い農民いっきを壊滅させるために多くの農民の命が失われた。

そんなさなか大塩平八郎の乱の際、共に幕府に立ち向かった経験を持つ大阪与力「米森 一」は自ら職を引き
農民となって幕府の横暴に立ち向かう決意をするのである。

一にあるのは飢えに苦しむ農民達の苦しむ想い。そして共に戦い散った同士「大塩平八郎」の無念の想い。
宝蔵院流槍術の免許皆伝の腕前の一はただ一個の竹槍を手に持ち
飢えに苦しむ農民達を救うために
幕府打倒を胸に今立ち上がるのであった!!!!!



江戸時代中頃の日本。とある土地の大名の圧政に苦しむ農民達がいた。
そして、"反乱≠ェ起こった。
…しかし、その反乱は"たった一人の農民≠ノよる"たった一人だけの反乱勢≠ナあった。
反乱を知った大名は、その農民を捕らえるように数人の役人に指示をした。
たかだか相手は一人。大名が所有する兵を挙げる必要など無い。誰もがそう思った。
だが、そのたかだか一人の相手に、大名の命を受けた役人達は全員殺害されてしまった。
その農民は、彼を捕らえようとする者を次々と殺害し、着実に大名の居る城まで向かっていた。
"危機≠感じた大名は、ただちに彼直属の数百人にも及ぶ精鋭部隊に討伐を指示した。
……農民の討伐から帰ってきた兵は、たったの数名。
彼らは大名に、
「辛うじて農民の討伐に成功したが、その戦いは凄まじく、その農民を殺害できた事は奇跡に近い。」
と語った。
大名は、この農民の力の凄まじさに脅威を感じ、圧政を撤廃した。

その大名家に伝わる文書には、その時の事がたったの一文、次のように記してある。
"一騎による一揆




家来「申し上げます。千の忍者部隊がたった一人の農民により全滅です。」
お上「ははは、まさに一騎当千だな。」
家来「?」
お上「案ずるな。奴とて人間、そろそろ体力も尽きる頃よ。
   それに、手裏剣を投げる事しか能がない忍者など万いようが同しこと。
   惜しくもない。」
家来「しかし、これほどの出来事は書物に記録しておかなければなりません。」
お上「うむ、そうだな…
   数万の農民による反乱とでも書いておけ。」
家来「!」
お上「事実を書いても信じる奴なんていない。奴は視界に入った者(証人)全て
   消しておるから大丈夫じゃ。そうじゃな、『一騎』…いや、『一揆』と
   呼ぼう、今回の出来事を。」




宇宙世紀0019年、地球から圧制を続ける連邦幕府に
農業プラントコロニー「IKKI」が反旗を翻した…

IKKI側は世界初の追尾機能付き高周波サイズを開発する。
しかし、研究所のあるコロニーには
連邦幕府のエリート部隊「シャドウ」が襲来。
宇宙農民の独立を勝ち取るため、キミの死闘が始まる…

             -作戦目的-
・襲撃によりコロニー内にはゴールドメタル製の脱出ポッドが
 散乱しているのでこれらを全て回収せよ。
※試作兵器「プラズマバンブーランス」の使用を許可する。自己責任で運用せよ。

                                      -いっき-


神は言う。
お前は殺戮者だと。
罰を与えると。

私はおそろしい地獄へと落とされることになるらしい。
想像を絶するような。
恐ろしい地獄。

神が言う。
「お前の嫌いなものを言え、そしてそれを食え」
私はこう答えた。
「おにぎりだー、おにぎりが怖いー、投げないでー」

神はおにぎりを投げてきた。
さあ、拾い集めよう。
私は叫び続けた。
「このおにぎり、こわいー、こわいー」
                  −いっきー



IQ

ゴン!ゴン!
    ゴン!ゴン!
 こんなところにくるのではなかった…
ゴン!ゴン!
    ピッ!…シュン!
 もう嫌だ…助けて…

ゴン!
   ピッ!…シュン!
キューブが…こんなにも近くに!

ピッ!
  …シュングワアアアアアン
 あ、足場が崩れ落ちる!

「う、わあああああああああああああ。」
 
 助け…

とある今は亡き天才数学者が作ったとされる巨大なブロック仕掛けの屋敷。
数学者の作ったその屋敷に、数多くの調査隊が挑んだが、帰って来た者は居ない。

「IQが足りない…知恵の持った者…」

屋敷は今日も、生贄を待つ。

IQ〜インテリジェンス・キューブ〜


ウィザードリィ

あー、ほんと商売って難しいよなー。
この店始めてから随分経つけど、さっぱり儲からねーや。

となりの店なんて、あんなアコギな商売やってんのに何で流行ってんだ?
俺に言わせりゃボッタクリだぜ、ボッタクリ。

客が持ち込んだモノを引き取って、倍額付けて並べてるだけ。
それで商売になるっつーんだから、世の中わからねえ。

それに比べりゃ、俺の店は良心的だぜ?
最高級の部屋からリーズナブルな部屋まで、
所持金に合わせて部屋のランクは選べるし、
どの部屋に泊まっても、体力はバッチリ回復さ!

あんなボッタクリの店と比べたら、抜群のサービスだと思うんだけどなあ。

まあ、あれだ。今にして思えばアレが失敗だったな。
「金が無い。どこでも良いからタダで寝かせてくれ」とか言ってきた客に
「あんた金が無いのかい?だったら馬小屋ででも寝て行きな」

あれ以来だよ。来る客みんな馬小屋で寝ていきやがるようになったのは。
今さら有料にするわけにも行かねえし。
あれからだな。収入がガタ落ちしたのは。

つーかお前ら、たまには有料の部屋にも泊まれや!

「ウィザードリー」


俺の名前はアアアアアアアア
人間の戦士だ。
といってもまだ戦士になったばかりの新米だが・・・・

これから迷宮にもぐりモンスターを倒して
実力をあげ有名な戦士になってみせる。

そのために故郷を捨てて金を貯め
血のにじむような努力をしてきたんだ。

おっ、俺を呼ぶ雇い主の登場だ。

他の仲間達の
アアアアアアアイやアアアアアアアウ達とともに
迷宮への冒険がはじまるのか。
腕がなるぜ。

どうやらまず下準備のために
商店へ向かうらしい
確かに強い装備品があれば怖い物無しだな。

これでアアアアアアアアも10人目だなぁ
空耳か・・・・
ふとそんな声が聞こえてきた。


俺の名はアアア。
冒険者としての登録を行う為に、訓練場という施設にやってきていた。
他にも続々と冒険者は集まり、そしてマスターの指示のあった扉の奥へと消えていった。
(あいつの次は俺の番なのだろうか…)
高鳴る緊張を必死に押さえながら、名前が呼ばれるのを待っている俺の前で
あいつは今までの連中とは違う扉に入っていった。
……
扉から出てきた時、そいつの胸には妙に格好の良い名前を刻まれた名札と
そこに刻まれたロードの称号が見えた。
……あいつは扉から出てきた?
微かな疑問が脳裏をよぎった。
それでは、今まで呼ばれていった連中はどうなったのだろう?
屈強な肉体を持った男や見るからに手癖の悪そうな男……
奴らは戦士や盗賊と書かれた扉に入ったっきり、出てきては居ない。

俺の番だ、試験官が俺の名を呼び、進むべき扉を示した。
その扉は魔法使いの扉だった。
(そうか、俺には魔法使いの素養が有ったのか…)
その後の冒険や、更に先の栄光を思うと、その素質を与えてくれた神に感謝したくなった。
次の瞬間、俺の体を光が包み込む。

俺は神を呪った。
魔法使いの素養、高い知識と状況把握能力を与えた神を。
もしも戦士や盗賊ならば、俺の身に何が起こったかを知らずに済んだはずだった。
俺の体は光の中で消滅していった。
戦士や盗賊ならば、異変に気が付く事もなく、夢を見ながら消える事が出来ただろう。
だが、俺はその能力故に、その異変に気づき、死の直前に最大の絶望を味わう事になった。
「ちっ、ろくなボーナス出ねぇな…ロードだけかよ…」
俺は、憎むべき対象の声を聞きながら、この世から去った…

「ウィザードリィ」


ウィザードリィ2

俺は冒険者、しかも前世の記憶を持っているらしい。
その為、訓練を受けることもなくスルーパスで冒険者の資格を得ることが出来た。
またその恵まれた素質から、パーティーの誘いも多く、仲間もすぐに集まった。
共に死線をくぐり抜けた仲間は、今となっては掛け替えのない宝になっていた。

ここは山の中の迷宮第三層、そこにあったのは「引き返せ」と刻まれたメッセージ。
迷宮の壁に刻まれた、このメッセージは俺の記憶の中から、一つの記憶を思い出させた。
あれはいつだったろう?
かつて世界を魔王の驚異から救った勇者だった時か…
確か、オーブを得る為の洞窟に入った際に、この様なしつこい警告を受けたことがあった。
そして、その先には目的としていたオーブが安置されていた…
それならば、この先にも何か重要な物が隠されているのでは?

俺は音を立てない様に、仲間に指で合図を送ると、その先に進むことにした。
仲間達も俺のカン、この場合には記憶を信じ「OK」と合図を返してくれた。
その先に続く曲がり角に入った瞬間、重力が消え失せた。
俺はそれが単なるワープや落とし穴ではないことを悟っていた。
* い し の な か に い る *
俺の脳裏に、そんな文字が浮かんだ…
俺の記憶…それは前世の記憶では無く、どうやら違う物を見ていたらしい。

        ―「ウィザードリィ2」― 割と実話だったりするorz


うおーズ

私はとある施設で海洋生物の研究と、
遺伝子手術による品種改良を手がけている科学者だ。
海上に建設されたこの施設で、日夜研究に励んでいる。
研究は順調だし、新しい品種もいくつか出来ているのだが、
成果が「品種改良で、笑っている夏目漱石そっくりの人面魚を作る事に成功した」とか、
「品種改良で、前にも後ろにも横にも歩けないカニを作る事に成功した」などの
ユーモアに溢れた方向に偏りすぎたせいなのか
上から「今年度中に成果をあげられなければ、予算を大幅に引き下げる」
と言われてしまった。どうも上には我々の努力が伝わっていないらしい。

全力でくだらない物を作るのがいかに大変なのか、彼らは分かっていないのだ。
まあとりあえず、このままだと国の予算で遊ぶ…いや、研究を続ける事が
出来なくなってしまう。
我々はとにかく、上にアピール出来るような方法を考えた。
7時間にも及ぶ必死の会議の結果、我々が選んだ方法は……


「東亜さん、順調ですよ。彼はもうすぐ帰ってきます」
ここは、我々が日夜努力をしている研究室だ。
今は部屋の真ん中にデカいモニターや計器類が置かれており、
そこには一匹の魚が映っている。
一見すると普通の魚に見えるが、知能は普通の魚の6倍以上あり、
さらに驚異的なまでの成長速度を持っている。
我々は上にアピールするために、「彼」を使ってある実験を行う事にした。
「彼」を研究所から1900km離れた海域に放し、
無事に戻ってくるかどうか実験するというものだ。
「彼」には研究施設に戻ってくるよう脳にすり込みがされており、
データは体内に埋め込んだ装置が24時間送信してくれる。

『天才的な脳と超人的な体を持つ魚は、無事に1900kmを横断する事が出来るか!?』
なんだかTV番組の企画のようだが、上にはなかなか好評のようだ。
当初は実験開始直後に他の魚に食われたらどうしよう、と、研究員一同不安だったのだが、
「彼」は我々の予想以上の動きを見せた。

他の魚とは比べ物にならないくらい素晴らしい動きで天敵を避け、
自分より小さな魚は積極的に捕食する。
実験開始から順調に成長を続けて、今ではかなりの大きさとなっていた。
3時間前にモニターでは無く、実際に私自身が海に潜って「彼」の姿を確認したのだが、
体は実験当初の数センチから1メートルほどに成長し、
目にはまるで人間のように知性溢れる輝きを宿していた。
作った私自身が少々怖くなってしまうほどだ。
「…ふむ、実際に見ると凄いものだな。我々は恐ろしい生き物を作ってしまったのかもしれん」
まあ、実験は成功しているのだ。何も問題はないだろう。

「もう彼の姿が見える頃ですよ。研究所の底部に移動して到着を待ちましょう」
助手の呼びかけにより、我々は全員、研究所底部にあるハッチへと向かった。
もうすぐ、ここから「彼」が戻ってくるはずだ。
「来ました!」
ハッチはそのまま水槽に繋がっている。
出入り口であるハッチに彼が飛び込んだ瞬間、出口は完全に密閉された。
長い旅を経て水槽内に再び収まった「彼」は、こちらをじっと見ていた。
3時間前と同じく、立派な体と知性に溢れた目をしている。
「いやーお前凄いな。本当に横断しちまうな……うがぁぁぁぁぁぁ!!」
私は驚愕した。
突然「彼」が水槽を突き破り、話しかけていた研究員ののど笛に噛み付いたのだ!
零れ落ちた血が、水槽から流れ出た水と混ざりあう。
振り払おうとする研究員の手を避け、今度は違う研究員の首へと飛び移る。
人から人、喉から喉へと飛び移り、「彼」は次々とのど笛を食いちぎっていく。
最後に残った私も、逃げる間も無く彼の牙にやられてしまった。
首に激痛が走る。立っていられない。目眩がする。私はその場に崩れ落ちた。

薄れゆく意識と溢れ出す血の中で、私は呟いた。
「我々は…お…恐ろしい生き物…を…作って…しまったのかも…しれない…な…」

『―うおーズ―』


ヴォルガードII

20XX年。宇宙から数十機の巨大コンピュータが飛来した。
「ズイガム=ボルド」と呼称されるそれは、
落下と同時に広範囲にわたってコントロール音波を放射。

僅か5分で全人類は異星人の管理化下に置かれ、
その10分後には、異星人の戦闘兵器部隊によって、
無抵抗となった地上施設はすべて制圧された。

彼らは洗脳した人間達に自動戦闘兵器を開発させ、
地球を軍事工場にする気だったのだ。
この異星人の一方的な侵略に抵抗出来る者は、もう誰もいなかった。
ズイガム=ボルド襲来時、
音波防壁を積んだ最新戦闘機に搭乗していた彼を除いて。


ズイガム=ボルドを前に、俺は震えていた。
無数の砲台に圧倒的な装甲を誇る巨大コンピューター。
大きさはこちらの30倍以上はあり、
腐った大木とスクラップを寄せ集めたような醜悪な外見をしている。

外壁に取り付けられたアンテナからは、
モニターに障害を起こすほどの凄まじい妨害電波が発せられていた。
俺の中が恐怖で満たされる。
無人操縦の二号機と共にここまで戦い抜いてきたが、
これは今までの相手とはケタが違う。俺は戦う前から圧倒されていた。
諦め、絶望、敗北、死。
そんな気持ちが湧き上がってきたその時、どこからか歌が聞こえてきた。

「レーザー…強いぞレーザー…」
いや、違う。歌っているのは俺自身だ。
俺は無意識のうちに、弟の作った歌を口ずさんでいたんだ。
まだズイガム=ボルトの洗脳が始まる前。

俺が新型戦闘機のテストパイロットに決まった日に、
弟が嬉しそうな顔で聞かせてくれたあの歌を。
今の弟は洗脳音波の影響を受け、傀儡と化している。
弟を、家族を、仲間を取り戻すために、俺は戦わなければならない。

いつの間にか手の震えは止まっていた。
きっと……弟が応援してくれたんだ。
俺は勇気を振り絞り、ズイガム=ボルドの戦闘領域へと突入した、

『―ヴォルガードII―』


“・・・在、第一種警報が発令中です。市民の皆さんは外出を控え・・・”
静まり返った居住区域に、綺麗な透き通った女性の声が、
あまりに不釣合いな不穏な知らせを響かせる。
辺りを濃密に包む空気を察したのか、小さな手が私の指を握り締める。
  「テレビで言ってたコワイひとがくるの?」
大丈夫よ、わが愛しの娘。きっとお父さん達がなんとかしてくれる。
「わたしたちのロボットさん、まけちゃったの?」
可哀想だったね。一生懸命頑張ってくれたのに。
  「ぱぱ、かえってくるよね?
   カイシャからかえってきて、またヒコーキごっこしてくれるよね?」
そうね。今度のお休みには、どこに連れて行ってくれるのかな?

あの人の職場は、都市区画の下にある機関区画(コア)だ。
先ほど届いたメールには、
  “娘を、頼む”
とだけ。
家を出るときの、いつもと変わらぬ笑顔。
胸のロケットを固く握り締める。

「・・・ふぇ」
何を感じたのか、むずがり泣きべそをかき始める。慌ててその小さな頭をわが胸にかき抱く。
今はその幼い涙すらいとおしい。

あぁ。神様。
明るくなくても良い。幸せでなくてもいい。
生きていける未来を下さい。
せめて、この子にだけは。

                           ---【ヴォルガードII
                                (浮遊要塞都市ズイガム・ボルドの人々)】



海原川背

「先生!うちの娘は……うちの娘は助かるのでしょうか!?」
母親は集中治療室に移送された娘を横目に医者へ訴えた。
しかし娘の顔色はほんのりと桃ががっている、小康状態も抜けて回復へと向かっているようだ。

「ご安心ください、お母さん。手術は成功ですし麻酔がきれれば意識も取り戻されるでしょう」
「そ、そうですね……。おぼれた子を助けようとして溺死したら洒落になりませんものね」

こんなに母親が大げさなのはワケがある。
横たわっている娘の姉。長女は河豚毒で死んだからだ。
それゆえに母親はどこかマヌケな死に方に偏執的な恐怖を抱いている。
もちろんその間が抜けている事は母親からの遺伝だ。
娘の名前も洒落で付けるくらいのんびり屋である事からもよく分かる。

(にしても凄い名前をつける親だよなぁ)
医者は母親に気取られないように横目でベッドに掛かっている娘の名前を見た。
そこには看護婦が書いた緊迫感ある字がその意味でえもいわれぬ雰囲気をかもし出している。
「海腹さん、娘さんの手を握ってあげるのが今は一番ですよ」
そういって医者は母親を娘の横に座らせるのだった。


ウルトラマン倶楽部2

出来の悪い息子だった。
乱暴者で、皮肉屋で、人の言うことをまるで聞かず、
いつも弱いものいじめばかりをしていた。
周りの人間に迷惑ばかりかけ、私が注意をしても一向に聞かない。
どうしようもない息子だ。
ただ、それでも私の息子だったんだ。
何よりも大事で、誰よりもかわいい一人息子だったんだ。

「大変です!ご子息が!」

死んだ。
息を切らせて走ってきた私の部下がそう言った。
辺境の惑星で住民を虐待していたところを宇宙パトロール隊員に止められ、
激しく抵抗した末に殺されたと、私に告げた。

「息子が……」

自業自得とも言える。
息子の悪事は今回に始まった事ではない。
前々からあちこちの惑星で犯罪を繰り返しており、
宇宙パトロールにも目をつけられていた。

法と正義の使者である宇宙パトロール隊員は非情だ。
現場の判断で犯罪者を死刑にすることさえも許されている。
そうしなければ生き残れないほどに過酷な職務だからだ。

息子もそれを知っていたはず。なのに抵抗した。そして殺された。
当然の結果だ。自業自得だ。非は私の息子にある。

だが、どんな理由であろうと、息子が殺されて納得できる親がいるだろうか?
「私は……私はお前を許さない」
こんなものはただの逆恨みに過ぎない。
だが私の心には、息子を死に追いやった男への憎しみしかなかった。
もう冷静な判断など出来ない。
この復讐を果たすためなら、どんな犯罪をも犯す覚悟もあった。
この復讐を果たすためなら、自分の持っているすべてのものを犠牲にする覚悟があった。
そう、すべてを……。

「……絶対に許さないぞ!ウルトラマン!」

『―ウルトラマン倶楽部2―』

(ホントにこんな感じの話です)


エレベーターアクション

地下1階で待機していた相棒の車に飛び込む。後ろから出てくる用心棒どもを
あざ笑うかのように派手なエンジン音を立てながら、車は地下の駐車場を発進した。
今日も仕事は完璧だ。

俺の仕事はスパイ。ただし、強行偵察が専門だ。ビルの陰からスコープを
片手に…とか、人目を忍んで行動する用心の後を尾行して…とかいうのは
俺の性に合わないんで、ターゲットのアジトに侵入して目的のブツを強奪して
くる仕事ばかりを請け負っている。もちろん危険だが、報酬もかなりのものだ。
裏の世界じゃ「突撃屋」なんて名前で呼ばれてるらしい。

…ああ、よく聞かれるな。何でそんな仕事ばかりやってるのか、って。
俺だって、他に効率よく稼げて性に合う仕事があれば鞍替えするさ。
でも生憎これ以上稼げる仕事には巡り会ってないからな。
…金が必要な理由か。それもFAQだ。今日は気分が良いから、特別に
教えてやろう…ちょうど相棒がクライアントから金をもらってきたみたいだしな。

この金は、3割が相棒の取り分だ。俺のは2割。残りは袋詰めにして、袋の口に
「寄付」と書き込む。で、ちょうど見えてきたあの孤児院に放り込むわけだ。
ああ、別に金を隠してるわけじゃないぞ。本当に寄付だからな。黙って見てろ。
ほら、裏口からシスターが出てきた。毎朝、花壇に水をやってるんだ。美人でこそ
ないが、心優しい娘。彼女は俺の想い人だ。恋人じゃないぞ、俺が惚れてるだけだ。
彼女は時々放り込まれる「寄付」に毎回目を白黒させ…そりゃそうだ、寄付にしては
金額が大きすぎるからな…見知らぬ誰かの好意を神に感謝する。その横顔の
神々しさ、あの顔こそが俺の本当の報酬なんだよ。

…おっと、電話だ。
「もしもし…ああ、俺が『突撃屋』だが…そうか、それで報酬は…」

エレベーター・アクション「報酬」
莫大な報酬の5割だと、シスターの金銭感覚がおかしくなっていき
人生を狂わせるというエクステンションが脳内補完されました・・・


周りの奴も故郷のオフクロも声をそろえて
「そろそろ結婚でもすれば?」ってか!
確かにもうそんな歳になっちまったんだな・・・。
けどよ、そんな暮らしはしたくてもさせてもらえねぇんだよ。
いや、正確にはテメェからこんな世界に入っちまったんだけどよ。
後悔はしちゃいない、負け惜しみなんかじゃねぇ。
俺にはこれしかねぇんだな。
危ねぇ!後ろの扉に気配が!!

バキューン!バキューン!

フゥッー。
相棒であるウォークマンでいつもの音楽を聴きながら
この緊張を紛らわす。
♪テテンテンテン テテ テテ テーン♪♪

やっぱ潮時なのかもな、大事な仕事中にこんな事
考えちまうなんて・・・。
さあてと、今回のこの案件(ヤマ)もこれで無事終了だな。
但し、俺が生きてここから帰れるのならな。
頼むぜ!地下の駐車場まで生きて帰してくれよ!

「エレベーターアクション」


エキサイトバイク

エキサイトバイク、これは数百年前の中国にて開発された"駅祭斗≠ェ起源と言われている。
駅祭斗とは本来、元の時代に考案された駅伝を、記念する祭りを仕切る統率者の呼び名であり、
その統率者が、駅から駅への悪路を馬で行く際に、転倒などをしても無傷で済むように考案した護身術である。
それが長年に渡って伝達され、いつの間にか護身術の名前それ自体が"駅祭斗≠ニ呼ばれるようになった。
この護身術は、猛スピードで山にぶつかったり、坂道でバランスを崩した時などに
受身を取りながら激しい回転を何回も繰り返し、自分の体だけは守る。と言う物で、説明するだけなら簡単そうであるが、
この術を会得する事は容易ではなく、最初から馬で修行をしようとした者、その9割は大怪我を負うか、命を落とす。
その為、中国で日常的に使われている自転車を用いて修行される場合が多い。
そして、自転車でも馬上でも駅祭斗ができ、さらにはその数倍の速度がでるバイクですら駅祭斗が可能な人材が生まれる。
彼らのような駅祭斗の達人は、どんなに危険な乗り物であろうと命を落とさない自信がある、
そんな彼らはいつしか、300km/h以上の速度がでるバイクを操り、複雑怪奇なコースで競い合うようになった。
こうして、エキサイトバイクが生まれたのだ。(民明書房刊:僕達の好きな中国拳法〜護身術編〜)



モトクロス…それは悪路を走るバイクレースの事である。一部の人間は危険も省みないほど魅了される競技だ。
「ククク…エンジンは…良し。」
ここにも魅了された人間が一人……モトクロスの死神と呼ばれている男だ。
"3"2"1<Xタート!!
彼のバイクは他のバイクを大きく引き離す。
「…ククク、来た来た。」
そして、下り坂での突然のブレーキ。後方に付いていたバイクは彼のバイクの後輪と激突し、坂道を転げ落ちてしまう。
彼は更に、何台も何台もバイクを転倒させ、恐るべき速さでゴール。
記録は"1分04秒″。までの最高タイムを大きく引き離してのゴールだった。
「ハハハハハ!無様だな!」
後方で倒れている幾台ものバイクを嘲笑いながら見下し、彼は最高潮まで"興奮≠オていた。
モトクロスレースでは転倒は日常茶飯事、更に彼の技術は高く、転倒が故意だとは誰も気づかない。
その為、彼に対する処罰は無く、そればかりか、一着でゴールをした彼は次のレースにも参加をする。
…モトクロスの死神の為の饗宴は再び開かれる。


「どうしちまったんだ、アイツは。」

今日もそんな一言からレースが始まる。
それがこの今の俺の舞台。

俺は至って真面目な性格だった。
同時に怖がりでもあった。
以前はマラソンの選手でもあった。
チキンと言われる事もしばしば。
「あいつはやれば出来るのに」
何度も聴きなれた言葉だった。

そんな俺にチャンスが回ってきた。

車椅子の子供が俺に頼んできたんだ。
「○○さんが勝つところを一度でいいからみたいです。一度一等になってください。」
俺にヒーローになれっていうのか。
いや、なれるさ。
俺は「やれば出来る男」。

大きな試合に出て良い所を見せよう…。
そう心に誓った。
そして走った。
今、俺が居る場所がその場所。
全力で走った。
そして、もう少しで一位になれる瞬間だ。
俺はその子供の事を想い、全力を出した。

結果は…2位だった…。
当たり前だ。
俺がラストスパートを出すと同時にそれ以上の速さでそいつは走ったんだから。

試合後、その子供がこう言った。
「ごめんなさい…。」
俺も同じ事を言った。
「すまない…。」
俺はヒーローになれなかった。
「次がある、何度でも挑戦してみせる。」
その車椅子の子供は頭を下げたまま何も言わなかった。

誓いが何度もあった。
その度に俺は同じ事を何度も言った。
その度にヒーローになれなかった。

ある日、その子供が来なくなった事に気づいた。
俺はそれからその子供の事を捜した。
死んでいた。
「どうせ頑張ったって僕は歩けない」
そう書き残して自殺した。

その日、俺は泣いた。
さらにタイミングが悪いことに一位になれたのはその直後だった。
その後も走るたびに一位になる。

その度に罪悪感が走り俺は陸上から足を洗った。

今の俺は脚がホイールに、手にはグリップを握り走っている。
そう、バイクのライダーになった。
以前と何も変わらない、健全な走りと着実な順位。
みんな俺のことを褒めてくれる。
優秀なライダーだと。

でも、今日は違う。
一年に一度「今日」が来る。

その走りを見ると大抵の人間は驚く。
無茶な走り、派手に吹っ飛ぶ自分の体。
ボロボロになり、その度にバイクも自分もボロボロになる。

それが唯一自分に赦された懺悔。
体が悲鳴を上げる度、俺は満足そうな気持ちになれる。
ボロボロになりながらバイクで一意を目指す姿。
俺が見せたかったのはこれのはずだ。
「どんなにボロボロになっても完走する事」
今はもう届かないガキに見せなければならない。

お前に見せたかった事を。
今はサーキットに変わったこのフィールドで。
ただ、流石にもうやばいかな。
体がもたない。
いや、俺は最後まで…届いて…
                    
エキサイトバイク:「ヒーローになれなかった男」

コースを完走し終えて死んだ男の顔はとても満足そうだった…。
そんな世界の一瞬を貴方はこの世界で体験するだろう。


エグゼドエグゼス

 「いよいよっすね隊長」
亜光速下の光の奔流を抜けた後、サージェント号から最後の通信が入った。
 「ようやくあいつらをプチプチ潰せるかと思うと、ワクワクしますよ」
そうだ、ワクワクする。実に。クリスマス休暇なんぞ屁でもないくらいに。
だからこそ、俺はむかついているのだ。

2222年、宇宙にまで貪欲に開発の手を伸ばした人類は、
昆虫型巨大生物に支配された惑星を発見した。
探査機はその場で撃墜。
人類は、その醜く、冷酷で、糞多く、糞ったれの虫どもを
迷うことなく、大いなる脅威、「敵」と定めた。

で、できあがったのがこの駆逐戦闘機カーネル号とサージェント号。
見積もり通りなら奴等を10回は皆殺せる、素敵なオーヴァーキラーだ。

ここまでは実に良くある話。

ところが、だ。
どこをどう調べたのか、お賢いドクターたちは糞驚くべき発見をもたらした。
あの糞虫どもが猿を人間に進化させた、造物主だというのだ。
アーメン。

万物の霊長たる溢れんばかりの知性も、
宇宙にまで進出するほどの飽くなき征服欲も、
年がら年中ぷりぷりのおっぱいに反応しちまうこの繁殖力も、
そして、俺たちが奴等を殺したがっているこの感情も……
全ては数万年前に奴等がデザインして組み込んだものらしい。

つまり、進化の袋小路だかに絶望して、種そのもののリセットを図ったものの、
宗教的理由だか本能的理由だかで同属殺しも自殺もできないから、
はるばる地球で数万年かけて、自殺を後押ししてくれる処刑人を育成してきた、とのこと。
アホが。

言われてみれば、確かに俺たちは、昆虫に親しみを感じることはない。
蝶の羽の美しさに魅せられることはあっても、犬猫に感じるような愛情は無い。
子供たちは何の呵責もなくカブトムシをバラバラにできる。
踏み潰したアリに墓を作ってやるセールスマンはいない。
ゴキブリを好き好んで家に飼ってる奴は最悪の変態野郎だけだ。

 「むかつく」

奴等に対する嫌悪が、仕組まれた感情であることに怒りをおぼえる。
その怒りさえ仕組まれた感情であることに怒りをおぼえる。
そして、どうせこの無限ループによる憎悪の無限増幅も計算済みの所為なのだろう。
奴等を一匹残らず殺さずにはいられないように。
完璧だ。最高。逃げ場なし。

 「糞面白くねえ」

既にレーダーには、文字通り雲霞の如く敵影が表示されている。
俺はピカピカのショットトリガーに指をかけた。

 「いいだろう、望み通りブッ殺してやるよ」

恐らくはこの戦いで得られるものなど何も無い。
けれど、人類はその殺戮衝動を抑えることができなかった。

          実行済みの プログラム
おれたちはもう、E X E D  E X E S なのだ。


――エグゼド エグゼス――


エコー・ザ・ドルフィン

イルカが泳いでいる。

 イルカが泳いでいる。

  深い藍色のわずかなグラデーションの中を

  イルカが泳いでいる。

 どこか遠くから伝わってくる静かな旋律の中を

 イルカが泳いでいる。

  漂う波のフォルムを映す、小さな光の柱を抜けて  

   イルカが泳いでいる。

   わずかなヒレの揺らぎは波紋を生み出し

  彼方よりの旋律に絡まるようにして

  あたらしい波紋を作り出す。

   繰り返し、

    繰り返す、

    波と波の交わり。

   まるで音楽に合わせて緩やかに踊るみたいに

   いつまでも、

    どこまでも、

     泳ぎ漂う一頭の流線形を追いかけて

     何かを探すように泳ぐ私がいる・・・


「・・・・・・・・・っ、ん?」
目を覚ました私は、デスクトップパソコンの前で突っ伏している自分の姿に気づいた。
(ああ・・・そうか・・・仕事を持ち帰って・・・。・・・途中で寝ちまったか。)
「コンコンコン♪」
ドアをノックする音だ、たぶん母親だろう。ドア越しに声をかけてくる。
「起きなさーい、もう8時よ!どうせまた遅刻でしょ!?早く起きなさいよー!?」

・・・・・・その後私はいつもと同じように、急いで身支度を済まし、満員バスに揺られ、満員電車に揺られ、
人ごみに紛れながら、携帯電話ので出社時間を気にしつつ、ぎりぎりほんの少しだけ遅刻してしまい、
デスクに座る前に呼び止められ、自分から挨拶する前に、上司から先に、こう言われるのだ。
「またおまえか!まったく相変わらず社会人としての自覚を・・・・・・!」
とね・・・・・・

寝起きのけだるさを残したまま、ゆっくりとシャワーを浴びている私は
飛び散る水滴を見て、何気なく今朝みた夢を思い出そうとしていた。


                                             ─ エコー・ザ・ドルフィン ─


SDガンダム ホットスウランブル

友よ私は戦う
君の勇士を背に受けて
暁の太陽が西から下るとき
伝説と私はなろう

すべては君への勝利を

勝利の栄光を君に!

私は戦う

赤い彗星が宇宙をかけるとき

そこに勝利と伝説が生まれる

私は勝つ!全てに!あの男に!

友よ!私を導いてくれ!私は勝つためガンダムに乗らない!



SDガンダム2 カプセル戦記

戦争末期。敵本国において秘密兵器「MUSHA-ZG」の
開発が進んでいるとの情報が入った。
「MUSHA-ZG」が量産されると我が軍はお終いだ。
「「MUSHA-ZG」を破壊せよ」キミに命令が下った。

「進軍開始!目標、敵ガチャポリス!」
キミは見事「MUSHA-ZG」を破壊出来るか!?

『 SDガンダム2 カプセル戦記 』


SDヒーロー総決戦 倒せ!悪の軍団

我々の一族には代々不思議な力がある。人形に魂を込めることが出来るのだ。
ぬいぐるみから精巧なフィギュアまで、ある程度人の形をしていれば種類は問わない。
少し力を込めるだけで、まるで生き物のように歩き、知識を持って喋りだす。
科学では解明することの出来ない、人智を超えた超能力。

……そう、この力は人間の力を超えていた。
それ故に我々一族は恐怖の対象とされ、迫害され、差別され、虐げられ、
辺境の惑星のさらに奥地へと追いやられた。
人類が宇宙へ出てから数百年、こういう所はまるで進歩が無い…。
私の両親も先祖も。ずっと日陰で生きてきた。

何故だ?何故我々がこんな生き方をしなくてはならない?
子供の頃から疑問に思っていた。
父も母も、仕方が無い事だと言っていたが、私には納得できなかった。
そして、自分の力が周りの人間よりも、ずっとずっと強力だという事に気づいたある日。
私は決意したのだ。我々一族を虐げてきた連中への復讐を。

そのために、私は戦闘用の人形を自動製造する装置を作り出した。
これと私の力を使えば、ほぼ無尽蔵に兵器を量産することが出来る。
機動力と量産性では、既存の兵器などとは比較にはならない。
人形を揃えれば、直にでも人間達の星やコロニーを制圧することさえ可能だ。
だが…一族の長であるチーフは私を止めた。
曰く、憎しみは何も生まない。戦いは無意味だ。平和に生きよう。
そんなことを繰り返し言って私を説得しようとした。
くだらない。その結果がこれだ。こいつには誇りが無いのか?
私は長を始末し、他の一族…私の家族も含め…を、皆殺しにした。
今思えば、その時私は既に狂っていたのかもしれない。
村を焼き払い、戦闘用人形の量産を始めようとしたその時。
長の娘であるエミィが、私の作った装置を奪って逃亡したのだ。
エミィは幼いが、私よりも人形を操る力がさらに強い。
何体かの人形を使って私に手傷を負わせ、まんまと逃げおおせた。
エミィは廃棄コロニーへと逃げ込み、そこで数体の人形と共に暮らし始めたのだ。
親を失った悲しみを人形で満たす。…反吐が出る。
私はエミィの済むコロニーへ奇襲をかけ、装置と共にエミィを捕らえた。
一度は油断したが、相手は所詮子供。捕まえるのは容易い。
装置を取り戻した私は、人間達の惑星とコロニーのうち、8つを制圧した。
人間達の兵器は、数と機動性で勝る私の人形達には勝てなかった。
残りの惑星とコロニーをすべて制圧するのも時間の問題だった。

…だが、その時私は、エミィが捕まる寸前に残した4体の戦闘用人形に気づいていなかったのだ。


「大変です!突破…され…ました…」
部屋に飛び込んできた兵士が、私の目の前で元のゴム人形へと姿を変える。
「ついにここまで来たか」
既に8つの惑星とコロニーはすべてエミィの人形によって奪還されていた。
残るのは私の故郷であり、軍事基地へと改造されたこの星だけだ。
怒りに身を震わせる私の目の前に、4体の人形が現れた。
「なるほどな。さすがエミィがすべての力を注いだだけの事はある。
たった4体で私の人形をすべて破壊するとはな」
4体。4体だ。このたった4体に、私の軍勢は敗北した。
「だが、私には信念がある。負けるわけにはいかない……」
私は強化スーツの出力を最大まで上げた。体とスーツが悲鳴を上げるが、無視した。
限界を超えたスピードでエミィの人形へと突撃をかける。
「勝つのは私だッ!」
闇の帝王ダークブレインと呼ばれた私の、最後の戦いが始まった。

『―SDヒーロー総決戦〜倒せ悪の軍団〜―』


F-ZERO

"スピード
これほどまでに、人の心を狂わせる事象があるだろうか。
スピードに魅せられた者は例外無く、永延と未知の領域の速さを求め続ける。
体験した事の無い、ある速さを得れば、今度はそれ以上の速さを求める。
その様はまるで、麻薬の虜になった中毒者。

人間のスピードへの探究心は果てる事がなかった。
2XXX年。人は時速1000Kmを、果ては音速を超える地上走行機を開発する。
しかし、余りの高速に一般車道での運用は不可。
開発されたマシンは人知れず、"スピード狂£Bの手に渡っていく。

「この美しいフォルム。素晴らしい性能。走らせずに腐らせて置いたらば死んでも死にきれぬ。」

人知れず消えていった悪魔のマシンたちは、やがて一つの場所に集まった。
そこはある国にある巨額の投資で作られた工場の達ならぶ巨大な街である。
しかし無計画な工場の設置、無意味な道路の設置は、その街の経済を圧迫した。
そして、そこは今"ゴーストタウン≠ニなっている。

「走ろう。思う存分!」

これは、
"スピード≠ニ言う名の麻薬を得る為に、全てを捨てた者達の、
終わる事のない"スピード≠ヨの追求の物語である。


F1レース

伝説となったF1チームがいた
某年某月 新GP開幕。
とある国のレース会場は排気ガスとアスファルトの熱気による陽炎で世界は滲んでいた。
シンプルな円弧を描いたそのコースでは最高速を維持し続けるためのシンプルなレースだったため
この場合レーサー本人の技術より緻密に計算されたマシンエンジニアリングが物を言う。
が、コンマ一秒の差もそうそう縮まるわけではない。最初のスタートポジションから順位は一定
誰もがそのレースをそう予想していた。しかし・・・
「!?馬鹿な…なんだあのマシンは!!」
一昨年モナコGPを制したマックレーンチームのチーフエンジニアが
己の最高傑作とも言える芸術品をあっさりと突き放すという光景を
目の当たりにし、驚愕したのだ。
「信じられん!450Km/hオーバーだと!!!奴らはレギュレーションを守っているのか!」
しかし、現にレース内で走っている以上、厳重なチェックはクリアされたはずである。
そして、サポートスタッフが持ってきた資料を見て、更に戦慄を感じる。
「…2MT…化け物か…」

恐るべきスピードを誇るそのマシンは、他のチームが作り上げた技術の結晶を
何台も抜き去っていた。
その場にいた人間全てが、その光景に見入られ息をのんでいた。

が、数回めのカーブで2台のマシンを抜こうとした刹那、その尋常じゃない風きり音に
前方のドライバー達は動揺した。そしてハンドルがふらつき・・・フロントウィングと
リヤパーツが接触。接触しただけにもかかわらず、
神のマシンに誰もが予想できなかった事態が起きた。

どっぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおお・・・・・・・〜〜〜んん・・・・

「!?」
大破である。普通はここまで木っ端みじんにならないだろうと言うほどの
見事な爆発ぶりである。むろん中のレーサーはただじゃすまないだろう…
皆がその惨事に対し悲痛を感じていた。中には十字を切るものもいた…
しかし、その大破したマシンのチームは、あろうことか
ま っ た く 同 じ マ シ ン を コース上に搬入したのだ(*このGPでは違反ではない)

(なんだ…一体…このチームは…)
後にマスコミは彼等のことを調べた。が、所属もスポンサーも不明、足取りは全くつかめなかった。
ただ、どこかのレースで最高速度1000km/hをオーバーしたという噂だけを耳にした…



19XX年。世界は人類絶滅の危機に瀕していた。
先の核戦争により徹底的に破壊された大地・文明。
そんな絶望的な状況の中、人々は己の命を危険に晒す、
スリリングで退廃的なゲームに興じていた。
死と隣り合わせの快感に奮えつつ、スピードの限界まで挑むゲーム、
その名も「恵腐ー湾(えふわん)」。ニトロを搭載し、徹底的な軽量を施した
マシンはちょっとした操作ミスが爆発事故=死に至る。

キミは、そんな危険な「恵腐ー湾」に、身を投じた若きレーサーだ。
並居る強豪を追い抜き、見事優勝を奪い取る事がキミの使命だ。
−きみは生き残る事が出来るか?

「F1レース」


SDガンダムワールド ガチャポン戦士スクランブルウォーズ

「どきゅーん!ずばーん!俺の勝ち。」
「え?お兄ちゃん…ZZガンダムがザクに負けるわけ無いじゃん。」
「お前のZZが弱すぎなんだよ。」
「そんなわけないもん。お兄ちゃん自分がザクしか持ってないからって…」
「 う る せ え な 。」
ガンダムが大好き兄弟。その人形が原因で、兄弟は口論をしていた。
そこに、同じくガンダム好きな彼らの父親が現れ。
「まぁまぁ。落ち着け二人とも。勝負なら、同じ位の力でやって見たらどうだ?」
突然現れた父。その突然の言葉に兄弟は目を点にしていた。
「ルールは…将棋みたいな感じだな。お互い順番に人形を動かして。
相手の本拠地を占領した方が価値。まぁやってみればわかるだろう。」
そう言いながら、父はどこからか巨大な紙を持ってきて、
そこに様々な地形を書き出した。
「人形はお父さんが持っているのを貸そう。
人形同士が重なったら、いつも通りの方法で対戦してくれ。
ただし、ザクがZZを倒すなんて事がないように。父さんが審判するぞ。
あとの細かい事はやりながら説明しよう。」
あっと言う間に、マップが完成。
「お兄ちゃん。よくわからないけど面白そうだね。」
「ああ。いっちょやってみるか。」


SDバトル大相撲

2XXX年。日本の相撲界は未曾有の危機に襲われていた。
何人もの大御所力士が、集団で犯罪事件を起こしたことによる信頼低下。
そして、年々減り続けている相撲ファン。
この二つの原因により、相撲の人気は数十年前の十分の一以下となっていた。
相撲が日本の国技と呼ばれていたのは昔の話である。
この窮地を抜け出すため、相撲協会はアニメと特撮に目をつけた。
ここ数年、TVアニメや特撮は大昔の再放送ばかりとなっており
ウルトラマンやガンダム、仮面ライダーといった大昔のヒーローが、
老若男女問わず大人気となっているのだ。
視聴率が20%を超える作品もある。この人気を利用しない手は無い。
相撲協会の会長は周囲の猛反対を押し切り、
相撲界復権のため、まったく新しい相撲を誕生させたのである。
それは…。

「なんで俺たちがこんな格好をしなけりゃならないんだよ!」
その控え室には、何人かの新人力士が集まっていた。
全員、本当ならば一週間後にデビューするはずだったのだが、
相撲協会からの指示で、強制的にこの新しい相撲に参加することになったのだ。


その新人力士達は全員、三頭身のきぐるみを着ていた。
「仕方が無いだろ。…俺や親方だって辛いんだ」
そう答えたのはウルトラマンのきぐるみを来た力士だ。
「仕方がないじゃないだろ!なんだよこれ。こんなの相撲じゃねーよ!
こんなバルカンだのビームだのが撃てるふざけたきぐるみを着て、
土俵に上がれるわけないだろ!」
百式・改という、実に中途半端なきぐるみを来た力士は、
先ほどから怒鳴り続けていた。
彼以外の全員は黙っていた。怒鳴る気力があるだけ、彼の方がマシだろう。
「時間です。予定通り、最初は全員で土俵に上がってください」
ドアを開け、係員が呼びかける。
百式・改の力士が渋々立ち上がり、バルタン星人などの力士もそれに続いた。

彼らはまだ知らなかった。
この相撲が大人気となり、日本の相撲界を救うことになろうとは…。


えりかとさとるの夢冒険

とっても仲良しの男の子と女の子の双子がいました。
ふたりはとってもとっても仲良しでした。

それがあるとき・・・
お互いが男女を意識しはじめたんだ。
もちろん、二人は許されない恋だって事もわかってた。

現実は二人にとても冷たかった。
近親のましてや双子の結婚なんて許される事じゃないから。

だから、二人は嫌だったんだ。
幸せになれない人間の世界を
だから、二人は憧れたんだ。
しがらみのない動物の世界を

そんなとき二人は幸せになるための方法を思いついたんだ。
それはね・・・・現実逃避・・・・
二人は眠り続けたんだ。

夢の世界は自由だから。
夢の世界は二人の作った世界だから。
動物たちが暮らす夢の世界。
ここなら幸せになれると信じてた。

でも・・・・二人は本当に夢の世界で
「本当」の幸せを見つけることが出来たのかな・・・?

あっ、もうこんな時間。
続きはまた今度。

「えりかとさとるの夢冒険」



オバケのQ太郎 わんわんパニック

街の灯りが消えるときいつものように湧き出てゴミ箱を漁る。
浮き世の蛆のような存在、それが俺だ。
いつものように腹を空かせ、糧を漁っていると目を奪われるような白い布が目にとまった。
ゴミの中に埋もれていたにも関わらず洗いたてのような純白さ、清楚感だった。

売り物にならないものかと布を持ったその瞬間、布が俺を纏い始めたのだ。
すると重い物で頭を押し付けられたような圧迫感に襲われ、みるみるうちに視界が低くなり、
まるで皮膚と一体化したように、布を纏っているという感覚がなくなったのだった。
一体どうなってしまったのだろうか。俺は近くの鏡に足を急がせた。幸い人の姿は無い。
そして鏡の前。映っていたのはボーリング玉のような目玉、人を丸飲みできそうなほどの大口。
皮膚は薄白く、先ほど拾った布そのまま。どこから見ても化け物だった。

こんな姿を人に見せられるわけもなく、とぼとぼと住宅地へと歩いていくと朝日が大地に差し込んでいた。
それに気付き、ふと空を見上げると視界に何か映る物があった。
食い物だ。串団子、ケーキ、おにぎり、果物、何でもござれ。
それも一つではなく多数、生ゴミではなく完全な形。
疑うより先に取ろうとして無意識にジャンプすると体がふわりと浮いた。人間では考えられない跳躍だった。
しかも滞空している。空に浮かんでいるのだ。
俺は早速取った食い物を下で無我夢中にパクついていると野犬が俺の方を見ていた。
始めは食い物を見ているのかと思ったがどうも違う。
この俺を見ている。しかも生き物を見る目ではない。
俺が食い物を見る目と同じ眼で俺を見ていたのだ。
しかもよくよく見ればどうも野犬は複数いるようだった。
涎を垂らし、いかにも飛びかかりそうな形相。

――ヤメロ!!俺は食べ物じゃない!!!

今、化け物どもの戦いが始まる・・・
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