【sage】ツンデレ的兄弟姉妹に全裸でちょっかいかけた54【進行】(55)


584 名前:以下、名無しにかわりまして魔法遣いがお送りします 投稿日:2006/03/02(木) 05:15:58.31 w+Qo+Bzl0
さて、と……ども。魔法遣いです。オレはオレのルールでやります。

しかし数日前にここで相談してた人。
表に出てきてたが……ものすごいヘビィだ、オレのが霞む・゚・(つД`)・゚・


今回のは、先々週の週末に一気に書いて寝かしておいたんだけど……
三日前に読み直してかなりオレは女々しい野郎だと凹みました orz

でも、このスレに来なかったら絶対に起こらかったことでもあるので……
微妙にスレ違いかもしれんが、意を決して投下します。おまいらのために!

ちょいと長いです。8レスあります。やりすぎかな……


例の如く、わけ分からん人には今まで書いてきた分テキストにしてあるので
ご所望なら投下後に要求してください。


587 名前:以下、名無しにかわりまして魔法遣いがお送りします 投稿日:2006/03/02(木) 05:18:39.51 w+Qo+Bzl0
<前回までのお話>

ネタ集めにとお袋と電話中
親父の入院の真実を知ったり
修学旅行中に起こってしまったことを思い出したり
妹うまそうにカステラ食ってたり
で、もうひとつの相談ってなんなの?

<登場人物>
オレ: くどいようだが本人。30台前半の魔法遣い。…だから訊くなって
みあ: 妹。またひとつキツイことを思い出したが可愛かったのでまぁいいか(よくない)
お袋: 色々隠してた人。かないませぬ

>>585
ごめんよう、文才ないから( ´Д⊂


589 名前:以下、名無しにかわりまして魔法遣いがお送りします 投稿日:2006/03/02(木) 05:19:46.52 w+Qo+Bzl0
オレ「で、もうひとつの相談って?」
お袋「あんたのこと」
オレ「……オレですか?」

あの日のことが蘇る。

お袋「みあがね、あんたのことが好きなんだけどどうしたらいい?って」
オレ「……ちょっと待て。それが主原因か?」
お袋「多分……」
オレ「多分って……カウンセリング受けたんでしょ?なんでそんな曖昧な」
お袋「言わなかったから」
オレ「なんでだよ」
お袋「……」
オレ「ちょっと……キツイよそれ……」

あの日以前のことを考えると、誰かに相談している可能性は少なからず
あるだろうとは踏んでいた。けど、それよりも前に、か……。

お袋「……その時、私は言ったの。もう少しあんたを見てみたらって。
   お兄ちゃんが好きなのか、○○が好きなのか、はっきり分かるまで。
   おうちのお兄ちゃんしか知らないでしょって。
   みあだってお兄ちゃんの妹でしかないんだから、
   もっと自分を見てもらわなくちゃって」
オレ「…………」
お袋「なんせお兄ちゃん子だったからね」
オレ「でも……それで、なのか?」
お袋「『自分がいるから貧乏なんだ』って考えたからだって、最初は思ってた」
オレ「オレもそう思ってたよ」
お袋「本当に苦労かけてたし、あんたにもね。でも……思い込みだった」
オレ「…………」
お袋「止めた時にみあがひっかこうとしてたの、胸とお腹だったの。
   カウンセリングの時に思い出しながらそのこと話したら、お医者さんは言ったわ。
   普通は腕とか顔とか、皮膚が露出してる所を真っ先に攻撃するもんだってね……」
オレ「……ッ!」

みあはお袋のアドバイスを反芻したに違いない。
その最中、意識は闇に墜ちたのだろう。

汚れてるなんてこれっぽっちも思ってない。
愛しいとさえ思っていた。それなのに。

また、オレなのか。ただただ……胸が痛い。

お袋「あんたに言わなかったのも……今なら分かるでしょ?
   みあだってそんなの望んでない」
オレ「…………」

あの日の選択肢を、この時選んでいたかもしれない。いや、選んでた。
ただ、この時は3つ目があった。親父とお袋の目の前に。
2人はオレ達のために、罪を背負ったのだ。

お袋「でも、あんたは悪くないよ。私が言ったことだし、それに貧乏だって私達のせい。
   そうでしょ?」
オレ「……自分達を、責めるなよ……貧乏だって……幸せ、だったじゃん……」
お袋「そう言ってもらえると助かるよ……」

電話口でボロボロ涙こぼしてた。
お袋は黙ってた。
でも多分、いつものように静かに泣いてた。


お袋「でもね。みあは諦めなかったのよ」

長い沈黙ののち、お袋は切り出した。

オレ「……ああ、そうだな……あの後から、だったな……」

そのあと暫くして。みあがオレの学校に顔を出すようになった。
オレの家は高校の裏手の団地。オレが高校1年の時に引っ越してきた。
オレの希望だった。

近いだけに、家には部活が終わればすぐ帰ってきた。
部活帰りのみあにおかえりを言うために。

帰ってくればいつでもいる。だから、高校に顔を出す事なんてなかった。
いつでも「おうちのお兄ちゃん」だった。

お袋「私が言ったこと、守ってたのよ」
オレ「なるほどね……」

みあは「部活が早く終わるようになったから」と言っていた。
それがウソであることはみあの部活仲間から聞いた。
顧問に「早く帰らせてくれ」と頼んでいたのだ。
その分部活中は人一倍頑張るからと。

そうまでして、みあはオレの部活中の様子を見に来てた。
トロンボーンの基礎練習なんて単調で、楽しいはずないのに。

部活の仲間は「仲がいいねぇ」とはやしたてた。
事情を知らない人達は怪訝な顔をしてた。
オレ自身もどういう心境の変化か、と思ってた。

でも、悪い気はしなかった。

大学に入ると、たまにサークルに遊びに来た。
電車で4、50分。行きたい〜と愚図るので電車賃出したっけ。

バッキバキの技術系サークル。
CADで回路図面引いてるのを楽しそうに眺めてた。
まったく、何が面白いんだ?

サークルでは皆に可愛がられてた。
悪い気はしなかったが、やっぱり心配だった。


みあは陸上部。槍投げで関東大会まで行った。頑張ってた。
家のこともよくやるようになった。料理にも挑戦しはじめた。
手伝おうとすると怒った。

散歩に出るとオレの周りをくるくる回ってよく飛び跳ねた。
元気が余ってんなーと羨ましそうに見つめる文化部理系のオレだった。

お袋「みあが高校に上がって最初の夏休みに、また相談されたのよ……
   やっぱり好き、だってね」
オレ「…………」
お袋「友達にも相談したみたいね。でも例え話をしたら気味悪がられたって。
   でも気持ちは変わらないって」
オレ「…………」
お袋「さすがに2年以上も思い続けたあの娘の想いを無碍には出来なかったわ。
   だから言ったのよ、アタックしてみたらって。
   でもまだあんたからは女として見られてないだろうから、まずはそれを
   解決しなくちゃねって」
オレ「それで、か……」

知りたかったことではある。
でも、知りたくはなかったことでもある。

素直に喜びたい自分がいる。
もっと素直になれていたらと思う自分がいる。

受話口から漏れる真実に、ただただ、平静を保つしかなかった。

お袋「でも、あんなことになって……みあはお兄ちゃんを選んだのね」
オレ「そうだね……」
お袋「あんたもそうなんだろ?」
オレ「うん……」
お袋「もし、あんなことがなくて、みあがあんたを望んだら……答えてた?」
オレ「…………」

フッた後輩が無理に作った笑顔が胸に刺さった。

お袋「みあが好きだったんでしょ?女として見てたでしょ?」
オレ「…………」
お袋「でも、怖かったんだ。お兄ちゃんだもんね」
オレ「…………」
お袋「なんて、そんなの逃避だもんねあんたの場合」
オレ「…………」
お袋「みあがかわいそうだったんだもんね」
オレ「……なんだよそれ」
お袋「同情。憐れみ。……慰み者」
オレ「お袋!!」
お袋「違わないじゃない」
オレ「チクショウ…………畜生!!そんなん関係ねぇ!!
   みあは綺麗だったよ、ただただ愛しかったんだよ……!!
   ……ああ、
   オレは、みあが好きだったよ!
   妹じゃない、みあが好きだったよ!愛してたよ!
   みあの気持ちだって薄々気付いてたさ!
   ……許されないことだってわかってても、でも!
   頭で考えてもどうしようもないくらい、みあと、みあと……!
   それを……一体どういう了見で……!!」
お袋「でも!!……あんたは、兄であることを選択した」
オレ「…………しかたないだろ。それがみあの幸せだって気付いちゃったんだから……
   オレじゃ、守ってやれなかったんだから……」
お袋「お兄ちゃんの思い込みでね」
オレ「…………」
お袋「立派だよ、あんたは」
オレ「……そんなんじゃねぇよ」
お袋「で、優しすぎ」
オレ「……ケッ」


あ〜あ……ぶっちゃけちまったなぁ。


あんなのに簡単に引っ掛かっちゃうなんてな……。
勇者の惚気にあてられて昂ぶっちゃってたとしても、これは。
弱い、あまりにも弱い……。ぶち壊しだよ……。

しっかしこの歳になってさえ、お袋にはかなう気がしないな、まったく……。
親ってスゴイよな……。


お袋「まぁ、あんた達が一緒になってたとしたらちゃんと祝福するつもりだったけどね」
オレ「まーたまた、それこそ過ぎたことは何とでも言えるってやつでしょー」
お袋「いやマジでマジで」
オレ「なにその口調w」
お袋「冗談はともかくとして、真面目にそう思ってたよ。
   祝福してくれる人がいないなんて一番寂しい事じゃないの」
オレ「まぁ……そうかな」
お袋「お父さんもその辺りは覚悟してたみたいよ。あんた達仲良すぎたしね。
   それに遊び人にはよくわかるんでしょ、人を好きになるってどういう事かってね」
オレ「そっか……」
お袋「ま〜私はお父さんしか知らないんだけどね」
オレ「なんだよここから惚気?」
お袋「ま〜ねw」

60過ぎてまだコレだよ、女ってのは怖いねw
しかしホント、親ってスゴイよな……。

オレ「しっかしよく割り切れるね。
   そこまで両人が想ってたとしても、親としては普通倫理的に反対しない?」
お袋「まぁ、知らないわけでもないしね……」
オレ「?」

この一言。なにかものすごく引っ掛かる。
実はずっと聞けなかったことがあるんだが、もしかして……。

意を決して切り出す。

オレ「……あのさ。もしかして祖父さんのことと関係してる?」
お袋「う〜ん……そうだね。いい機会だし、ちょっと昔話しようか」


お袋は、約半世紀前の物語を紐解き始めた。


601 名前:以下、名無しにかわりまして魔法遣いがお送りします 投稿日:2006/03/02(木) 05:29:12.86 w+Qo+Bzl0

昔話につづく。



……ニゲテモイイカナ?


607 名前:以下、名無しにかわりまして魔法遣いがお送りします 投稿日:2006/03/02(木) 05:34:24.92 w+Qo+Bzl0
あの日はなんかおかしかったよ、オレ……。


で。絶対誰にも言うな!って釘さしたのに言っちゃうんだもんなあ
いぢめられてます( ´Д⊂


【sage】ツンデレ的兄弟姉妹にちょっかいかけちゃった59【gege】


52 名前:以下、名無しにかわりまして魔法遣いがお送りします 投稿日:2006/03/04(土) 06:14:25.11 3kDOvfbZ0
>>50
おはーノシ

さて、ちょっとクオリティヒクスなんだけど速攻で書いてみた、投下していい?
ただの仲良し日記だけど。こんなんやってこうかと。


59 名前:以下、名無しにかわりまして魔法遣いがお送りします 投稿日:2006/03/04(土) 06:16:38.30 3kDOvfbZ0
家族でキャンピングカー借りてキャンプへ行った時のこと。

川のせせらぎサイコー!
真夏に避暑でサイコー!
音がよく響くぞ、サイコー!

ってことで持ってきたトロンボーンを出す。
下だとあまり響かないのでちょっと高いところに行って練習開始。
(注:楽器は響くところで練習しちゃいけません。実力よりウマく聞こえます)

ブ−−−−−−−−−−−−−−
あ、妹が気がついて寄ってきた。

ブ−−−−−ゥ−−−−−−−−ウ
スライダー動かすと合わせて妹が首ふる。かわえーw

ブッ ブッ ブッ ブッ ブ−−−−
ポジション取ってもやっぱりそれ通りに首動いてるよwわはは

親父「おーいちょっと手伝ってくれー」

お、バーベキューの道具を出すらしい。
んじゃスタンドに立てて、戻るか。

そうして荷物降ろしを手伝っていると。
かすかに「スー、スー」って音が聞こえる。
もしや……

妹が真っ赤になって吹こうとしてたw

まぁ、ロックでスライダーも動かんしいいだろ。
ホントは唇震わせないと音出ないんだけどね。面白いから教えてやらんw

「スー、スー、スー、スー、スー、スー……ス−−−−−−−−−−−−ッ!!」

あっはっは!おもすれー!
しっかし負けず嫌いだな妹ちゃんは!

「ス−−−−−−−−ッ!カチャカンッカンカンカカンカンッ ポチャ」

…え?

暫く身動き取れず。実は学校の備品……。

キャンプ場は比較的上流でなぁ……カンカン言いながら流れ去ろうとする
金色の物体を見ながら、オレはポエムでも詠もうかと思った。

親父が拾ってくれたので意識回復。で、妹の方を見ると。

まだ硬直してた。目見開いて顔真っ青。微動だにしない。
考える間もなく飛び出して傍に行き、妹に呼びかける。

オレ「おいっ!おい大丈夫か!お……うわっ!」

がばっと抱きついたと思ったらこれまた突然にわんわん泣き出した。
まぁ、怖かったんだろうなぁ。音にビックリしたかな?オレに怒られると思ったかな?
よしよしよし。

まー本体は無事だったし、泣き顔可愛いので許してやろう。
音楽の先生の怒り顔も可愛かったのでダブル役得。でもボディにきた…いてて…。


【sage】ツンデレ的兄弟姉妹(従)にちょっかい出した63【メレンゲ】


325 名前:以下、名無しにかわりまして魔法遣いがお送りします 投稿日:2006/03/07(火) 03:23:38.39 wwC9gLjs0
はい、そういうわけで魔法遣いです。

いやさっきはホントビックリしたわ、どこで特定されてんだーって。努力したのに…

しかし足舐めの従姉、ガチ泣けるよ・゚・(つД`)・゚・

さて、それでは続きです。
週末は投下出来る雰囲気じゃなかったんで遅くなりました。スマン。
本日は…9レスあります。長いね。これもスマン。でも区切りだから許して。

例の如く、固めたテキストがありますのでご入り用の方は投下後に要求してくださいまし。



んでは、いきます。


326 名前:以下、名無しにかわりまして魔法遣いがお送りします 投稿日:2006/03/07(火) 03:25:23.25 wwC9gLjs0
<前回までのあらすじ>
電話中に始まった昔話。


<登場人物>
…ん〜、今回は視点が何回か変わったりするのでなし。
最初の「彼女」はお袋だということだけ前提にしておきます。


今回の話は完全にお袋からの伝聞です。まとめるのに多少表現を追加
しましたが大事な所はお袋の話のままです。

故に、多少説明不足なところがあるかもしれません。ご承知おき下さい。

あとスマン、区切りなのでちょっとおセンチになった。


329 名前:以下、名無しにかわりまして魔法遣いがお送りします 投稿日:2006/03/07(火) 03:27:52.69 wwC9gLjs0
戦時中のある日、彼女は生まれた。
終戦を迎えたのは、彼女が1歳になるほんの少し前だ。
彼女には3人の兄がいた。

彼女らの父親は海軍将校。レイテ沖海戦で帰らぬ人となっていた。
かろうじて遺骨は日本の土を踏めた……らしい。

とはいえ、彼女は父親の顔も、ぬくもりも知らない。
彼女にとっての父は、子供達の将来を慮って病弱の母と再婚した
母の幼馴染だった。

その母も、彼女が5歳の時に亡くなった。
それを追うように、父も数年後に約束半ばで亡くなった。

彼女の親は近くに住む母の妹夫婦になった。
2人は兄弟を小さい頃から我が子のようにかわいがっていた。

叔父と叔母には戦後生まれの息子が一人。彼女にとっては2つ違いの弟になる。
彼女ら5人はすぐに兄弟になった。

月日は経ち、彼女が中学生になる前の年。盆の墓参りに来ていた。

手を合わせる墓は2つ。
父母の墓と、写真でしか知らない実父の墓。

いつも気になっていた、墓誌に実父の名がないことを。

長兄に聞いてみた。
「新しくした時に忘れたんじゃないのか。あとで住職に言っとく」
兄弟の中で唯一実父の苗字を名乗る青年は、
それだけ言うとあとは黙って手を合わせていた。

さらに月日は経ち、高校の卒業式。
彼女の授業料を払っていたのは、働いている2人の兄だった。
卒業証書を貰い、友人達と記念にどこかへ行こうと相談していた時、
職員室から呼び出し。大学生の三兄だった。

「叔母さんが危ない」

彼女は家に向かって延びる坂道を走った。ひたすら走った。
家には既に他の兄弟が叔母の傍に集まっていた。
苦しそうにする叔母の汗を拭ってやる。良くなって欲しい。
けれど、段々弱まる呼吸はそれを否定する。
叔母は、最期の力を振り絞ってみんなに声をかけた。

「ありがとう、あなた……」
「ありがとう、みんな……」
最後に「ごめんね」と、長兄に声をかける。力一杯頭を横に振った。

叔母の通夜が終わった後、彼女と2人の兄は叔父の部屋に呼ばれた。
叔父と一番上の兄が並んで座っていた。
その前に3人は腰を下ろす。

「君達に大事な話があるんだ。○○(叔母)とは前から必ず話すと決めていた。
 でも、○○君(長兄)がまだ待ってくれと。今日許しをもらったので
 今日のうちに話す」

3人とも顔を見合わせる。誰も何も知らなかった。

「○○(叔母)は、私の妹だ……そして君達のお母さんは、私達の姉さんだ」

両親がここに屋敷を構えた後。妹夫婦が姉を慕って近くに越してきた。
今までそう聞いてきた。でも実際は……愛し合い、家を追われた兄妹だった。

叔父は2枚の紙を3人の前に置いた。2つの戸籍。
そしてそれぞれに、弟の名前が書かれていた。

「そして……君達のお父さんだが……すまないっ!!!」

突然土下座して頭を地に擦りつける叔父。
何を問うても頭を上げず、許しを請うばかり。
長兄は「悪くない!叔父さん達はなにも悪くない!」
と、叔父の肩を抱いて泣いていた。

少し落ち着いた叔父を残して部屋を変える。
長兄が叔父の言葉を継ぐように語り始めた。

叔父と叔母が越してきてまもなく、父方の祖母が屋敷を訪れた。
祖母は母をなじり、父がかばう。そのうち父と祖母は口論になり、
祖母は父の頬を思い切り引っぱたき去っていった。
怯えたまだ小さい長兄を、父は大丈夫と思い切り抱きしめた。

終戦後。父は遺骨となって帰宅した。母はずっと泣いていた。

何日か経ち、そいつらは屋敷にやってきた。祖母と男数人。
仏壇に置かれていた父の遺骨と遺品を、祖母は奪っていった。
子供達は必死に抵抗したが、男達に取り押さえられた。
庭では幼馴染が痛めつけられていた。

母は取り押さえられながら、連れて行かないでと必死に叫んでいた。
叔父は今日のように土下座し、祖母に何かを訴えていた。

背中を向けていた祖母が向き直り、何かをわめいた。
「醜い」「気持ちが悪い」「汚らわしい」といった悪言は
今でも耳に残っている。

彼女は一気に理解した。
実父の墓には誰もいないこと。
祖母が忌み嫌ったものと、一家への仕打ち。
そして、長兄の苗字に対する想い。


でも、叔父と叔母は誰から見ても仲の良い夫婦だった。
沢山可愛がってくれた。
料理と裁縫は叔母が教えてくれた。
川遊びや山菜取りは叔父が教えてくれた。

なぜそんなことをするのか。
あやまらなければならないことなのか。
最期まで悔いなければならなかったのは……

彼女にとって2人は、親代わりで仲のいい夫婦のままだった。

オレ「お袋は母親より叔母さんの話をすることの方が多かったね」
お袋「そりゃ、物心ついたときにはもういなかったもの」
オレ「叔母さんはいい人だったんだよね?」
お袋「優しくて気っ風のいい人だったよ。チャーミングな人だった」
オレ「叔父さんは?」
お袋「叔母さんの尻に敷かれてたw でも強い人だったよ」

叔父はオレの生まれる少し前に、病で息を引き取ったそうだ。
兄弟はお金を出し合って、2人の墓を建てた。祖母の隣に。

オレは今まで何も知らず、3つの墓に手を合わせていた。
最近行ってなかったが、今年の盆には訪ねてみようと思う。

オレ「○○(長兄)叔父さんは結局結婚しなかったね」
お袋「彼女も作らなかったからね」
オレ「なんでまた?」
お袋「何かの時のために、父方との繋がりがあった方がいいと思って
   今まで……なんだろうね。あと父を本当にひとりぼっちにしたく
   なかったのも、あるんだろうね。聞いたことはないけど」

長兄は一度、紀伊にある父方の実家に出向いたことがあるそうだ。
まだ自分も働けず、生活苦で、藁をも掴む思いで金の無心に赴いたのだ。
だが、門前払いだった。父に会うことも叶わなかった。
息子の子供なんて最初からいない、というような勢いだったそうだ。

遺骨もない。遺品もない。
その上皆が嫁いでしまえば、除籍簿に残るは父一人。
寂しい思いをさせたくなかったんだろう。
誰も悪くない。だから許せなかったんだろう。

オレ「昔はよく遊びに来てたんだけどね。今どうしてるだろ?」
お袋「まだ元気みたいだよ。たまに鰤大根食いたいって電話あるよ」
オレ「そういや来た時はいつもそうだったね」
お袋「叔母さんの得意料理だったからね」
オレ「あー。似てるんだ、味」
お袋「そりゃ叔母さんの仕込みですからね」
オレ「てことはオレが作ったのも似てる?」
お袋「んー似てることは似てるけど。みあが作ったのの方が似てるよ。
   もしかしたら私のより似てるかもしれない」

お袋にとって、叔父さん叔母さんはいつまでも親代わりなわけで。
幸せになれると、オレらが生まれる前から知っていたわけで。
父方の本当の不幸を痛いほど理解しているわけで。

オレ「ふぅ……なんか驚天動地って感じだったな」
お袋「そうねぇ、私もこんなに話させられるとは思わなかったよ」

親父とお袋とオレとみあ。仲良し家族の思い出。

オレ「ちょっと思い出話がしたかっただけなんだけどな」
お袋「それにしてはあんた、随分とツッコんできてたわね。なんかあったの?」

楽しいときも、苦しいときも。うれしいときも、悲しいときも。

オレ「う〜ん、あったといえばあったし、なかったといえばなかったし」
お袋「なにそれ?」

兄でいたオレ。妹でいたみあ。ずっとしあわせ、これからもしあわせ。

オレ「まーいいじゃん。それより寿司パーティの卵焼きちゃんと用意しといてな」
お袋「まかしときー」

義弟とみあと甥と姪。仲良し家族でしあわせいっぱい。

オレ「んじゃもう寝るから切るな。おやすみー」
お袋「ん、仕事無理しないでよ、おやすみー」

荷物を降ろし、少しだけ休んだら。

また歩き出そう、電話を切ってそう誓った。




343 名前:以下、名無しにかわりまして魔法遣いがお送りします 投稿日:2006/03/07(火) 03:35:11.22 wwC9gLjs0
ちなみに母の弟はというと。

高校卒業の前に叔父から全てを伝えられたそうです。
まぁ、就職時に戸籍謄本取れば分かっちゃうことですから。
ああいう時代ですから、きっと苦労したでしょうな…。

今は奥さんもらってますが、随分と長い間放浪してたみたいです。
突然ふらっとナップザック一つで家に遊びに来てたのを覚えてます。
そういや少し色素が薄くて日焼けできない、って言ってたかな?
関係があるかどうかは知る由もないですが。


369 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/03/07(火) 04:10:41.52 wwC9gLjs0
家系図出来たので上げときます。

祖母        |−長兄
|−−−父   |
祖父●  |   |−次兄
      |−−|
祖母●  |   |−三兄
|−−−母   |
祖父 | |   |−長女(お袋)
●   | |
    | |
    | 父
    |
    |
    |−叔父
    |  |−−長男(弟)
    |−叔母


●は話に出てこない人で、お袋視点での血縁表現になってます。


384 名前:以下、名無しにかわりまして魔法遣いがお送りします 投稿日:2006/03/07(火) 04:24:55.83 wwC9gLjs0
でなぁ……今日はもうひとつ、話があるんよ。日曜のことなんだが……
投下してもいいかな?一日でやりすぎなんだけどさ…


ちょい急いでるのは、海外出張で明後日から週末まで来れないからなんだけど。
明日は朝早いから来れるかわからんし…

あ〜上妹の合格も気になるし全裸兄の決戦も気になるし、ちくしょー


389 名前:以下、名無しにかわりまして魔法遣いがお送りします 投稿日:2006/03/07(火) 04:28:37.80 wwC9gLjs0
昼頃目が覚めたので銀座へ服を買いに。
昨日十数年ぶりに美容院へ行ってきた。ついでに眼鏡も新調したが受け取りは来週。

う〜ん今までユニクロとかで済ませてきたので正直分からん…六本木とか表参道とかのが
良かったのか?と、眺めるだけになってた時にメール

「兄さん、どこにいますか?今兄さんの家に来てるんですけど」

…え。来るなんて言ってなかったじゃんっつーか片付けてない!
ひーと冷や汗垂らしながら急いで帰宅。

家に着くと風呂場から水音。おーいと呼ぶと顔を出して
「あ、こことトイレ先掃除しちゃうから部屋に行っててくださいな」

PC付けながら「子供達は?」「お父さんといるよー」休みなのに…
義弟スマン、なんて言って来てるかわからんがこれオレのせいだ多分…。

とりあえず一言だけ書く。と、妹が「これから部屋の掃除しますから、
すいませんけど台所に行ってもらえますか?」と言うのでめんどいから
ちょっとブラブラしてくると外出。ちょっと考えたいことあったのよ…。

もうそろそろいいかな、と戻ると、おお…部屋が清々しく…
「たまにはちゃんと掃除してくださいね」はーい。

座卓に付くと、「兄さん、いつものやります?」
うん、ちょっと疲れてるし、やってもらおうか。

うつぶせに寝て、マッサージ開始。うーん気持ちー。特に足が疲れてますねと妹。
20分ほど揉んでもらって次は鍼。電気流すのもあるんだよね。それを肩腕足に。
効き目は後から段々と出てきます。最後に灸をすえてもらって終了。

「やー気持ちよかった!ありがとな」「いえいえこれくらい」

その後妹は日用品買いに行ったり服を繕ったりアイロンかけたり。
横で見てたけど、うんうん奥さんしてるなぁ。
一段落してティータイム。今日は桜のフレーバーティで。実は紅茶好き。
いけねお茶うけないや……と、妹がバッグから小さい箱を取り出す。

中にはスコーン。いやよくわかってんねー「兄さんいつも紅茶ですから」
ペッパー・サラミを使ったスパイシーなやつ。普通はバジルを使うんだが
ここはシナモンか、やるな…お菓子でも抜かれたかなこりゃ…。

「何時頃帰るの?」「9時の電車取ったので、それで」
9時か…お茶終わって7時だな…マズイ、なんか話題ないかな…

「……兄さん、あの……話が……」

あー……。

まぁしょうがない……か。元はオレだ。

オレ「あー、うん。お袋の話のことか?」
妹 「うん……お母さんの話、ホント?」
オレ「ウソは言ってない……ってか、どう聞いてるの?」
妹 「兄さんが、私のこと……好きだったって……」
オレ「うん、それは本当」
妹 「……いつから?」
オレ「……」
妹 「いつからなの○○君!」
オレ「お、懐かしいなその呼ばれ方。まぁ過去形だし今更いいじゃんよ」
妹 「でも……!」
オレ「まー昔のことだしさ、オレのことなんかいいんだよ」
妹 「でも私だって!」
……なるほどな。
オレ「今に比べりゃ安っぽいことですよ、ノートPCとオーブンレンジで
   十分おつりが来るくらいのね」
妹 「……」
すまんなぁ、無理矢理で……でもちゃんとばいばいしたでしょお前は。
お袋がそこまでしか言ってないのはそれを信じてるからだよ。
旦那も子供もいて幸せなのに、変な後悔なんてして欲しくないんだよ。

そこから時間までは2人でテレビをボーッと見てた。特に会話なし。

時間が来たので駅まで送るよと席を立つ。玄関先で妹が突然こちらを向き、
抱きついてきた。おいおい……。

少しすると嗚咽が聞こえてきて、途切れ途切れにつぶやく。
妹 「兄さん……私、私……」
オレ「んーなんだ?さっきのことか、もうおしまい」
妹 「そうじゃない……私、は……ゴメン……ね……」
オレ「なんで謝るんだよ……お前が幸せだからそれでいいんだよ。オレだって
   幸せだよ、お前にいい旦那がいてさ。な?」
妹 「……」
しばし、沈黙。

妹 「抱き締めてくれないんだね……」
オレ「え?」
妹 「ぎゅってしてくれないの?」
オレ「いやそれは」
妹 「お兄ちゃん……妹を励まして……くれないの……?」
オレ「……」

ぎゅ。

妹 「名前……呼んで……」
オレ「ん……みあ」
泣き止むまで髪を撫でてやってた。

んで、化粧とかボロボロなので1時間遅い電車に変えてやって、急いで送りに出る。
まーた玄関で振り向く。まだなにかあるのか?

妹 「あ。そこの万年筆取って」
オレ「お?これか?」

玄関の床に置かれてた、妹愛用の万年筆を両膝ついて拾おうとすると。

むにゅ。

妹に頭を抱えられ、顔は胸に。さすが母親、張ってるね。
苦しくはないな、でも子供みたいだからちょっと恥ずかしい。

妹 「ありがとう……」
オレ「……ん」
妹 「兄さんにも本当の幸せ、見つけてほしいから……
   こういうのしてほしかったら、早くお嫁さん見つけてね?」
オレ「お……おぅ」

少しほてった顔で、駅まで送っていきましたとさ。
これで弄られることもなくなるでしょう……たぶん。


終わり。


【祝福を】ツンデレ的兄妹姉妹(従)にちょっかい出した70【ここに】


321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2006/03/11(土) 04:31:36.38 VZgu3uVN0
はいはいはいわかりましたよ魔法遣いですよおはやぁ皆さん

…といっても報告らしい報告ってないんだけどな

なんせ出張中飲みが激しくてな……マッサージも観光も出来なかったさ
特に2日目は……今でもちょっと気持ち悪いんだよな


328 名前:以下、名無しにかわりまして魔法遣いがお送りします 投稿日:2006/03/11(土) 04:37:19.22 VZgu3uVN0
2日目の状況:

4時から飲みに連れて行かれる
あちらの乾杯は本当に飲み干さないと礼儀に反する
ビールを少し飲んだら……

なんだこれおちょこ?梅酎?度数…43!?

7杯ほど乾杯して潰れる orz


気がついたら8時頃、起きると通訳が「オキタヨー!」
助け起こしに来たので手を差し出す…となぜかおちょこ。
え?なにこれ白酎?え?え?グビッ…げはぁ!なんだこれ!
度数…58!た、助けて……何杯行ったか分からんが記憶途絶


気がついたらホテルで帰りの便2時間前。


そんな感じで帰国

電話
オレ「今帰ってきたー」
妹 「お疲れ様〜」
オレ「もうダメ、あの国だけはダメ( ´Д⊂」
妹 「まぁまぁ、無事に帰ってきただけでも」
オレ「そやね。あ、電車来たから切るな」
妹 「うん、ゆっくりやすんでね」

メール
妹 「そうだ、今日は直帰?それとも会社?」
オレ「いやもうこんな時間だし家に帰るよ。
   ちくしょうマッサージもしてこれんかった、また揉みに来てくれ」
妹 「あはは
   それじゃゆっくり休んでくださいね」


結果的にウソをついてしまった。
一応お袋にも連絡。


337 名前:以下、名無しにかわりまして魔法遣いがお送りします 投稿日:2006/03/11(土) 04:42:16.27 VZgu3uVN0
実はちょっと前にメールで会社から今回の出張の報告をプレゼンしろと言われてるんだ…
週末は色々とやりたいことがあるんで、残すは今日しかないんだ…
また終電まで仕事をするオレ。泣ける。

くたくたになって家に着くと。

座卓の上には五目飯と、豚角煮が……

オレ今週何回泣いてるんだよ。目のパッキンが腐ってきたかな……


涙ぐみながら食ってるウチに、オレは超重要な事に気がついた。
その料理…ほんのり暖かかったんだよ。


涙だらだら出た。

ひどいことしちゃったな……明日謝らねば。


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