パラドックス

パラドックス。paradox。日本語では逆接と訳されていますが、 本来は一般的な意見に対立する意見という主張です。 ほとんど矛盾と同意になっていますが。


アキレスと亀

 アキレスが前を走っている亀を追いかけます。 アキレスが亀のいた場所に到着したとき、亀はそこから少し先に進んでいます。 アキレスがそこまで進んでも亀はさらにその少し先にいます。
 アキレスが亀のいた場所に到着したときには、亀はほんのわずかでもその先にいます。 そうしてアキレスは亀に永久に追いつけないのです。

 明らかに間違いとわかる主張ですが、ではどこが間違っているのかを考え出すと かなり難しい問題です。
 数学の無限等比級数、1/2+1/4+1/8+・・・1/2n+・・・=1を使えば 上の話には何の不思議もありません。アキレスは亀に距離1のところで追いつくのです。
 ではどうしてこの級数は収束するのか? 級数を使わないで説明せよといわれたら?

0.9999・・・=1

 0.999・・・は1です。数学的にも簡単に証明できます。 が、よく考えると不思議な話です。
 実際は0.999・・・の・・・のところに問題が隠されています。 0.999・・・は0.9+0.09+0.009+・・・という意味ではないのです。
 無限というのは有限と違っていろいろ変なことが起こるのです。困ったものです。

トムソンの無限ランプ

 ランプがあります。スイッチを押した瞬間に反応し、 光速による遅延とかはないものとします。 まず時間1が経過したときにスイッチをオンにします。 次に1/2が経過したときにオフにします。以下1/4でオン、1/8でオフと繰り返します。 このとき時間2が経過したときランプは点いているでしょうか?時間2以降は?

 答え。そんなランプはない。

 実はよくわかりません。またこの設問は時間2で収束するので、 それ以降の時間は“ない”ということになります。これもよく分からない話です。

動けないアキレス

 アキレスが地点Aから地点Bに行こうとしています。 ところが地点AとBの中間には地点Cが存在します。 そしてAとCの間にはDが、・・・ということになり AとBの間には無限の点が存在することになります。 無限の点を通り過ぎるのは有限の時間でできることではない。 すなわちアキレスは地点AからBに行くことはできない。

 アキレスと亀と逆のパターンなので同様に説明できます。 無限の空間を有限の時間で通り抜けられるのがおかしな気がしますが、 実は時間も無限に分割可能なのです。

飛ぶ矢は飛ばず

 飛んでいる矢の写真を撮ると、その中で矢は静止しています。 次の瞬間の写真を撮ると、やっぱり矢は静止しています。 それなのにその写真をくっつけると矢は動きだす。何故か。

時間は常に流れており時刻はその一部分を切り取ったものであるが、 写真は時刻ではなく瞬間だけを切り取ったものであり時刻という情報が入っていない、 よって写真では飛ぶ矢は飛ばない、ということです。 上の無限の内容とも関わってくるのですが、写真は無限小の時刻を切り取ったわけではなく、 時刻とは別の瞬間という概念で表されていると。
現実のカメラではシャッタースピードがあるため僅かな時刻が記録され、 高速で移動する物体は写真ではぶれて見えます。

世界は有限かつ無限

 世界がたった五つの要素ABCDEだけでできているとします。 A、B、C、D、Eは互いに違う要素であるからしてきちんと区別できなければなりません。 というわけでわかりやすくA│B│C│D│Eとしましょう。 ところでそれぞれを区切っている│もまた別のものでなければなりません。 それぞれの│の区別もできないといけません。 というわけでそれぞれの│をabcdと表すことにしましょう。 すると世界の要素は全部でAaBbCcDdEの九つになります。
 以下略。結局要素は無限に必要ということになります。なぜでしょう。

世界人類はハゲである

1.髪の毛が一本もない状態をハゲと呼称することにする。
2.髪の毛が一本増えたところで変わらない。
3.よって髪の毛が1本でもハゲである。
4.2、3より髪の毛が何本あろうがハゲである。証明終わり。

クレタ人は嘘つきだ

 「クレタ人は嘘つきだ」とクレタ人の預言者が言った。

発展版。
A:「Bの言っていることは嘘だ」B:「Aの言っていることは本当だ」
例外のない規則はない。
決してとは決して言うな。
絶対ということなど絶対ない。
「原則として、私は原則に反対である」
「次の質問にイエスかノーでお答えください。貴方の次に発する言葉はノーですか?」

赤ん坊をさらったワニが母親に言った。
「正解を答えたら赤ん坊を返してやろう。私は貴方の赤ん坊を食べるつもりですか」
「はい」

 あるひ領主がお触れを出した。この橋を渡るものは渡る目的を答えなければならない。 本当のことを言えば無事にわたれるが、嘘をついたら橋の向こうの処刑台で絞首刑。 ある時一人の男が言った。
「私は橋の向こうで絞首刑になりに来ました」

抜き打ちテスト

 先生が言いました。
「月曜から金曜までのいずれかの日に抜き打ちテストをします。曜日は秘密です。」
これを聞いたある生徒が言った。
「このテストを行うのは不可能だ。」
「なぜ?」
「まず金曜にテストはない。なぜならば木曜までにテストがなかったら 金曜日にテストがあることが明らかだからだ。 同様に木曜日にもテストはない。なぜならば水曜までにテストがなかったら 木曜にテストがあることが明らかだからだ。 同じ理由で結局月曜にもテストが行えないことになる。」
 そして実際には水曜に抜き打ちテストが行われました。
「おかしいです。テストは行えないはずです。」
「では貴方は水曜にテストがあることを予想できなかったのですね。」

相対主義のパラドックス

 言葉のパラドックスは最終的に相対主義のパラドックスに行き着きます。
モンテーニュの言葉。「私たちについても、物事についても同じままであるものは 一つとしてない。私たちも、私たちの判断も、あらゆる死すべきものもたえず流れ去り、変化する。 そのため、どんなものについても、一つとして確実なものはうち立てることはできない。 判断するのも、判断されるのも普段の変化と動揺のうちにあるのだから。」
 この言葉をこの言葉自身に適用するとどうなるか。

懐疑主義のパラドックス

 この世の中に確実なものなど何一つ無い。少なくとも、 人間には絶対確実な真理を知ることはできない。というのが懐疑主義。
 で、懐疑主義の主張を懐疑主義自身に適用してみると、泥沼。

 モンテーニュの採った解法はこれ。「私は何を知っていようか?」

無限ホテルのパラドックス

 部屋数が無限のホテルがあります。ここに無限の人が泊まっているとします。 そこに一人の人が泊めて欲しいとやってきました。この場合どうするか。
1号室の客には2号室に移動してもらい、同様に2号室は3号室に、と移動すればよいのです。 無限+1=無限という不思議な結果に。
 それどころではありません。さらに無限数の客がやってきました。 この場合1号室の客を無限号室に移すというようなことはできません。 しかしホテルマンは慌てず騒がず、 1号室の客は2号室へ、2号室は4号室へ、3→6というふうに今の倍数の部屋に移ってもらいます。 すると奇数部屋がまるまる空くのでそこに今来た客に入ってもらうのです。
 なんと、無限+無限=無限。これが無限の不思議なところです。

1対1対応

 集合の要素を一つづつ結びつけて数えること。
 これを一対一対応といいます。利点は実際の数を気にしなくても比較ができること。 玉入れの玉の数を比べるようなものです。 そしてもう一つの利点が、実際には数えることが不可能なものを数えることができることです。
たとえば自然数の個数と偶数の個数。有限ならば自然数の個数は偶数の個数の2倍です。 しかし無限の世界では話が変わります。 無限の世界ではどちらの数も文字通り無限です。 そして実際に個数を数える、という操作は不可能です。 ではどうするか。1対1対応です。
1-1
2-4
3-6
4-8
5-10
というふうに対応させていきます。 するとどちらの集合も漏れがないように、一つづつ対応させることができます。
 すなわち、自然数の個数と偶数の個数は同じということ。
 実際には個数ではなく基数と呼びます。同じだと混乱するからね。

1対1対応の発展

 自然数と有理数の基数は同じ。でも有理数の基数<実数の基数。 長さ1の線上の点の数と一辺の長さ1の正方形の中にある点の数は同じ。 無限を使うとどんどんわけのわからない結果が出てきます。

ゲーデルの不完全性定理

 数学の理論体系が無矛盾であれば、自分自身ではその無矛盾性を証明できない。

バナッハ=タルスキの定理

3次元空間上で球を有限個に分割し、うまく組み立てることで同じ大きさの球を二つ作ることができる。
選択公理という公理を導入すると証明できてしまう奇怪きわまりない定理。

アローの不可能性の証明

 民主主義に必要な前提を4つ挙げる。
1.投票の自由。
2.AとBのどちらかを選ばざるを得なくなった場合、Aを選べばその結果を絶対に受け入れる。
3.A>Bという結果が出た場合、その順位はどこまでも遵守される。
4.最終結果がただ一人の投票結果とだけ一致する場合その結果は採用しない。

 アメリカの理論経済学者アローが、123からは4の否定が帰結することを証明しました。 すなわち、民主主義は独裁者を生む。

面接官

 普通の面接官が4人とトンデモ面接官が一人いるとします。 明らかに受かる生徒、明らかに落ちる生徒にはトンデモ面接官はほとんど影響を及ぼしません。 問題なのは落ちる落ちないの瀬戸際の生徒です。 普通の面接官が平均の評価しか出さない場合、 ボーダーライン付近の生徒の合否はトンデモ面接官の一存で決まってしまうのです。

民主主義のパラドックス

 ワイマール体制はきわめて民主的な制度でした。 その結果ヒトラーの独裁政権が誕生しました。

寛容のパラドックス

 思想、信教の自由を認めると、その中に存在するかもしれない 非寛容主義の宗教も認めなければならなくなります。

医原病

 医学が発達すると病気も増える。
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