文系の科学 最近ちょっとこだわっていることがある。それは世の中のさまざまな仕組みについて疑問を抱くことである。 こう言ってもよくわからないだろう。つまり、この世の中にはあまりにもよくわからないものが多すぎるといいたいのだ。 たとえば、電話。これは遠い昔にエジソンが発明したのにそれをベルさんという人が横取りしたものだ(とエジソンの伝記に書いてあったが真偽のほどは疑わしい)。私は最近これに疑問をもった。音は一秒間に340mしか進まないのに、どうして電話の声は何100km離れていても瞬時に届いてしまうのか。ほら、花火の音というのはどばーんと光が見えてから“どーん”という音がするまでいくらか間があるでしょう。あれと同じ現象がなぜ電話に起こらないのだろうか。たとえば家からそちらまでは15kmほどあるので、今この声が届くのには44秒ほどかかってもおかしくのではないのではないか、ととある理系の先輩に電話で聞いてみたところ、電話の中には音だけではなく電気も通っているのだ、ということであった。 なるほど、と思わず感心してしまった。電気が音(声)を背負ってぴゅーんと飛んでいる様子ならイメージできないこともない。電気ならそれぐらいのことはやってくれそうだと思う。 でも、それならば昨今若者の間ではやっているPHSなるものはどう説明したらよいのだろうか。あれはやっぱり声が宙を飛んでいるのだろうか。何も線がつながっていないのに声が通じるというのはどうも信用できない。私だってPHSを借りて使ったりしているけれど、信用できないものは信用できないのである。 いろいろ考えているうちに、どこが頑張っているのか分からないものは根本的に信用しにくい、ということがわかってきた。 たとえば飛行機。あんな巨大なものがどうして宙に浮くのか。飛行機に乗ったことはあるし離陸シーンだって何回も見たことがあるけど、何回見ても“ウソだろー”と思ってしまう。だいたい人間一人だってなかな |