重力を制御する方法 都田隆 \2600 2000/09/10発行

http://www13.big.or.jp/~redsky/grav/
ここで紹介されている本です。

全部で16章、300ページ以上に及ぶ大著ですが、
肝心の重力理論については14章以後にしか出てこないのでなんだか期待外れ。
それ以外は例に漏れず相対論の否定ばっかりです。
長大な内容の割に間違いだらけで、よく書いてる最中に気付かなかったものだと思います。
まあ、

だから、この本に書いてあることも全て正しいことだと盲目的に信じてはいけない。人間がやることには誤りがある可能性があり、誤りがある場合は読者の方が自ら修正したり、理論の検証や実験的な研究を行い、より良いものにしていっていただきたい。
と書かれているので遠慮なく修正していくことにしましょう。
以下目次

1.時間
2.速度
3.空間
4.相対性原理
5.運動量の保存
6.ベクトル
7.運動〜微分・積分の基本概念〜
8.力とエネルギー〜加速度のある力と加速度ゼロの力〜
9.見かけの力〜相対加速度と非相対加速度による力〜
10.力の表現〜加速度の時間微分と空間微分による力の表現〜
11.ベクトル解析
12.万有引力の法則
13.静的な場の法則〜クーロンの法則と万有引力の法則〜
14.磁場の概念
15.ファラデーの法則の重力的な表現
16.重力制御の応用


1.時間

アインシュタイン以前の時間の定義は、時間は全宇宙で一元的であるという絶対時間でした。
相対性理論に依れば、時間は光速によって定められる二次的なものになっています。
これはどちらが正しいというものではなく(相対論がより正確でしょうが)仮定の取り方によって自動的にそうなるものです。

ニュートン物理学は非常にわかりやすいのですが、物体の速度が光速に近付いてきたときに理論と現実が合わなくなるという問題が発生してきました。
これを修正するために木に竹を接ぐような理論がいろいろ現れたわけですが、その中で最も正確かつ単純だったのが特殊相対論です。
今まで絶対的だと思われていた時間を絶対の立場から降ろし、かわりに光速を絶対なものと置くことによって、全てのつじつまを合わせることができるようになったのです。
もちろん特殊相対論が絶対に正しいというわけではありません(一般相対論とさえ相違がある)が、
時間が絶対だと定めた他の理論より遙かに現実に即していたからこそ特殊相対論は基本理論となりえたのです。
当然この本ではそんな背景を無視して

時間は何らかの運動を観測すれば量的に定めることができる
などと唐突に言い出し絶対時間を定義してしまいます。
だから順番が逆だってのに…
てなわけで以後回転運動を軸とした時間の定義が出てきますがもはやどうでもいいです。
局所時間と共通時間の測定もできるかどうか怪しげだし。

2.速度

宇宙空間(周囲になにもない)に相対速度0の二隻の宇宙船が存在し、その片方がロケットを噴射して離れたとする、とまあここまで言えば著者が何を言いたいかわかると思いますが、
相対論では、どちらが加速されたかということを識別する方法はないし、またあり得ない
ということらしいです。そんなことアインシュタインは一言も言ってないんですがね。
特殊相対論が成り立つのは、慣性系の内部のみです。
加速した時点でその宇宙船は慣性系から外れるので、 そちらの方が加速されたと区別することができます。
ちなみに特殊相対論で加速度を取り扱うことも一応可能です。

3.空間

微妙におかしいんですが、明らかに間違っているというほど間違ってるわけでもないし、6ページ弱しかないんでパス。

4.相対性原理

まあ例によって絶対空間を導入しているわけですが、 ガリレイの慣性系の方は絶対空間要らないような気が。

で、相対論否定にくるわけですが、移動する列車の中央から左右に光を発射するというどこかで聞いたような実験が始まります。
列車が速度vで動いているとき、前方の壁をA、後方をB、そして中央に光源Lを置きます。LとABの距離はlとします。地上から見た座標系をS、列車上の座標系をS'とします。
このとき、S'から見た場合、光がLからA、Bに達する時間は等しくt'=l/cです。
Sから見た場合光がA、Bに到着する時間は等しくなく、tA=1/(c+v)、tB=1/(c-v)となります。
それで正しいのですが、著者は第一章の共通時間の概念を持ちだしてきてこの事実はおかしい、と言うわけです。
その証明に波の伝播を持ち出すわけですが…当然駄目ですわな。
以下マイケルソン=モーレーの実験が成立するのは光は運動物体に随伴するからだ、などと勝手なことを言い出し勝手に混乱し勝手に特殊相対論は間違っている、と結論を出しています。はぁ
いろいろあって最後は宇宙空間で同じ実験をしたら絶対速度を測れるはずだ、と言い出します。
マイケルソン達は最初建物内で実験した後、上記のようなことを考えて山頂で測ったりしているのですがね。

5.運動量の保存

ここが一番ひどい間違いをおかしているところです。
本気かよ、どころか正気かよ、と思えます。

まあ、とりあえず例題です。
重さm,Mの2球ABがあり、はじめにBが静止しておりそこにAが速度uで弾性衝突する場合どうなるか計算してください。

答え
衝突後のABの速さを(uの方向を正とする)U,Vとすると、
運動量保存の法則よりmu = mU+MV
エネルギー保存則よりmu2 = mU2+MV2
これを解けば
U = u(m-M)/(m+M)
V = 2mu/(m+M)

実際著者も正解を求めているのですが、突然これが間違っていると言い始めます。
勿論現実には弾性衝突はあり得ないのでこんな現象は起こらないのですが、著者の言っているのはそんな次元ではありません。
まずはこんないちゃもんから。

mu = mU+MV
mu2 = mU2+MV2
の2式が成り立つのは、m=Mの場合、
・U=0
・V=0
・U=V=0
の3つだけであり、U≠0かつV≠0では成立しない、よってこの連立方程式は一般化できない

誰もこんなことは言ってませんね。
運動量保存則(+エネルギー保存則)は、
mu+Mv = mU+MV
mu2+Mv2 = mU2+MV2
であり、誰も言っていないことを勝手に批判するのは似非物理学者のお家芸です。
だいたい著者の言ってることは「v=0かつm=MならばU=0もしくはV=0になる」という極めて当たり前の内容に過ぎません。
さらに言うならばこの場合U=0、V=uが答えなんですがね。
というかあなた、すぐ直前で正解を計算したばっかりでしょうに。

そして本章最大にしてこの本最悪の間違い。
Aは等速直線運動をしているからガリレイ変換可能であり、Aに固定した座標系から見れば、衝突前はBが速度uで近付いてきて、衝突後Bは速度uで遠ざかっていくことになる
………
…どっからどう見てもAは等速直線運動をしていませんね。
こんな阿呆な勘違いを元に運動量保存則は間違っていると言い出すのだからたまらない。
で、正しい法則は
P = |mv|+|MV|
だそうです。そろそろ頭痛がしてきましたが著者の言い分に従って計算してみると、弾性衝突の場合上記の問題は以下のような答えになります。
Bに加えられる運動量はmuであり、Aの反作用は-muとなる。以上。
え?UとVは?
書いてません。
というか、何故かこの人、弾性衝突する場合は運動量が完全に交換されると決めつけているんです。
しかもなんの断りもなく突然「と考えられる」とか書いてるんですよ。はぁ
ちなみに著者の言い分に従うと、v=0ならmやMに依らずU=0になります。
ボーリングのピンにボーリングの球がぶつかってもボーリングの球は止まるらしいです。
元々U=0になるのがおかしいからってこの式を提唱したはずなのに、 最初より酷くなってどうするよ。

同様に速度uの物体Aと速度-vの物体Bが正面衝突する場合を考えましょう。
筆者の言うとおり運動量が完全に交換されるとして計算すると、答えは
U = -Mv/m
V = mu/M
で確定となります。
この人何故かM=nm、v=-kuの場合しか扱ってないんですが、なんででしょうね?
そして結局この答えの意味するところは、「走行中の車が空気にぶつかって止まる」です。
m>>Mの場合を考えてみてくださいよ。

ここで述べられた例題の回答は、実験によって検証されているわけではないが、実験で検証することは容易であろう。このような実験は、あまり厳密なことを要求しなければ、簡単に行うことができる。
頼むから検証してください。

6.ベクトル
ベクトルについての基本的な内容の解説です。
特に間違っているところはないと思います。

7.運動〜微分・積分の基本概念〜

微分積分の高校程度の基本的な概念。
限定積分なる造語を作ってますが、正直これは私も欲しかった概念。
内容は0からの不定積分であり、一言で言えば積分したときに積分定数を入れなくていい不定積分です。
とまあそこまではいいんですが著者は不連続関数についても積分しちゃいます。
f(x)=1/xはx=0で不連続であり積分不可能ですが、著者はこの積分は0であるべきだ、と勝手に広義積分なるものを定義しちゃいます。
広義積分は既に使われている言葉だとか、ルベーグ積分しろよ とかは考えてはいけないのでしょう、きっと。

8.力とエネルギー〜加速度のある力と加速度ゼロの力〜

机の上に置かれた重りはエネルギーを発しているぞー、とそんな内容。
接着剤はエネルギーを発しているぞー、とは言わないんですかね?
二人の力士が力Fで釣り合っているとき、力の総量は2|F|だそうです。
我が家のパソコンは炬燵の天板をmgの力で押しており、炬燵の天板は炬燵布団をm'gの力で押しており、炬燵布団は炬燵の骨組みをm''gの力で押しており、炬燵の脚は畳をm'''gの力で押しており、おお、力の総量が無限大に!

9.見かけの力〜相対加速度と非相対加速度による力〜

遠心力やコリオリの力は見かけの力だけではなく、実在の力も存在している、とまあそんな主張なんですが、私は最後まで見かけと実在の力の区別がわからなかった程度の人間なので内容についてはあまり語れません。
まあ、ひとつだけ言うならば、マッハの思考実験は正しいらしい、ということですか。
#宇宙の大きさくらいのバケツを回転させても中の水は凹まない、という内容です

10.力の表現〜加速度の時間微分と空間微分による力の表現〜

加速度は速度の時間微分ですが、またもや勝手に速度の空間微分をもって位置加速度なる造語を作り出します。
位置加速度はd(v2/2)/ds = dv/dtと表現できるわけですが、まあ有用かどうかは別として、 式自体は間違っていません。正確には∂なんですが正直どうでもいいと思うんだけど一々文句をつけるんだよねこの人は。
さて上式よりF=md(v2/2)/dsと言い換えてこの章は終わりです。

11.ベクトル解析

div、grad、rot、ハミルトニアン、ストークスの定理など大学教養程度の数学。
たぶん特に間違ってないと思うけどここらへんもうすっかり忘れ去ってしまったから間違っていたとしてもわかりません。

12.万有引力の法則

最初は万有引力のおさらいなのですが、途中から例によって変な造語を持ち出して飛んでいきます(頭のネジが)
a=F/mより、a=0ならばF=0なのですが、8章の内容を持ち出してa0=F/mなるa0を静止加速度と定義しちゃいます。はぁ
よって物体を場所AからBに動かすのに必要な力W=F・ds=ma0・dsとなりますが、経路C1とC2を適当に取ると、rota0=0のときにC1とC2の積分が等しくなり、その時にその場を保存力場とするのだそうです。
要はrota0=0のときが保存力場だと。で、場が保存力場でない場合はそこからエネルギーを取り出すことができるということ(たぶんここまでは間違ってはいない)
地球の重力場は自転しているから正確には違いますが、ほぼ保存力場と見なすことができます。

で、問題はここからなんですが、例えば一定方向に等速で吹き続ける風は保存力場なのですが、うまくプロペラを作れば風からエネルギーを取り出すことができます。
ならば地球の重力場という保存力場からもエネルギーを取り出すことができる、ということだそうです。

んー、誰か保存力場からエネルギーを取り出すことはできない、なんて言ってたっけ?
例えばスキー場の頂上Aから終点Bに辿り着いたときの最終速度は、摩擦や抵抗を無視すれば経路に依らないので保存力場です。が、明らかにエネルギーを取り出すことは可能ですね。
問題は重力場からエネルギーを取り出すことができるかどうかなのに(と以前にはまったく出てこないのにいつのまにかそういうことになっている)関係ない話をされてもね。

以下は適当に演算をこねくり回してポテンシャルやら位置速度やら重力速度やらを出してるわけなんですが中身がまったく伴っていないのでどうでもいいです。
本当にもう計算の目的というものがないんですよこれが。

13.静的な場の法則〜クーロンの法則と万有引力の法則〜

クーロンの法則等の電磁気力の簡単なおさらい。
重力を電磁気力的に表現しているわけですが、電磁気力と重力の統合は未だ誰も完成していないはずなんですけどもういいや。

14.磁場の概念

アンペールの法則というものがあります。c2▽×B=j0という公に認められた式ですが、著者は勝手に重力に対する連続の方程式を定義しちゃいます。
すなわちc2▽×Bg=j0
で、当然電流が流れれば磁気が発生するので…もうわかったでしょう。
ジャイロを回転させれば反重力が発生してUFOが浮くわけですよ。はぁ
そして相変わらず実際秒速何回転させれば何gの反重力が発生するのかとかは一切書いてくれないんですよね。はぁ
そしてやっぱりジャイロの歳差運動は何故おこるのか現代物理学では未だ説明できない、などと言ってるわけですよ。そんなのとっくに解明されているというのに。はぁ

15.ファラデーの法則の重力的な表現

電磁気力と重力の方程式ですが、式を見る限りでは非常によく似ています。
明らかな違いというのは、電磁気力には引力と斥力の二種の力があるのに対し、重力には引力という一種の力しか存在しないというものでしょう。
で、著者は電磁気力の方程式で重力を表し、斥力がないからエネルギー保存則が成り立たない、わー永久機関の完成だー、とまあそんなことを言ってます。
実際電磁気力と重力を統合できたらノーベル賞は確実なんですけどね。まあ、実際はそれだけ違うってことです。
この法則は、物理学の法則であると言えるのだろうか。少なくとも、この法則に従わないものは真の物理学ではないと主張できるだけの物理的な根拠をこの法則は持っていない。むしろ、この空想の法則に従うように物理学の法則を作ろうとするために、現実世界を反映すべき物理学が、空想世界の物理学となっている弊害が物理学の知識の中に見られるのである。
一体誰のことを言っているのやら。

16.重力制御の応用
ジャイロは航空機などの傾きを判断する計測器としても応用されている。
これらは、ジャイロによって制御された重力場と地球の重力場との干渉効果を応用したものである
違う。間違っても違う。
航空機に取り付けてあるレーザージャイロは、光の干渉によって傾きを観測するものです。
回転運動によるサニャック効果という相対論的効果を使用しています。
で、単純な方々が「マイケルソン・モーレーの実験では光は干渉しないはずなのにレーザージャイロでは干渉している、これは矛盾だから相対論は間違いだ」とか言い出すわけです。
レーザーじゃないジャイロもありますが、これはただ単に中で重りが回転しているだけであり、回転軸が変化しにくく一定の方向を保つという性質を利用しているに過ぎません。
宇宙空間でもジャイロは使用可能である、という一言で論破には十分でしょう。

さて、最後に、重力発電装置と重力推進機関の設計図が載っているわけですが、まあ、言いたいことはひとつです。
「さっさと実物作れや」



えーちなみに反重力理論の実験的根拠ですが、現在までほとんどありません。
独楽を回すだけなんだから誰にでもできそうなものなんですけどねえ?
実際は1970年代から時折見られますが、具体的な数値や係数が書かれた論文となるとほぼ皆無という有様。
何回転させれば重力がちょうど打ち消される、とか書いてくれないと意味がない。まったくない。机上の空論とはよく言った。

#blockquote内は著書からの引用ですが、意味の変わらない範囲で一部編集している場所があります。
#完全に原文のままではないので御注意を。


会社作ったみたいです
正気か?

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